猫は都合の悪いことをすぐに忘れられる動物といわれています。さっさと忘れて落ち込まないという猫の能力は、人からすると、ちょっとうらやましくもありますよね。そこで今回は、愛玩動物看護師の小野寺温先生に、猫の“忘れるチカラ”についてお話を伺いました。
猫は都合の悪いことはすぐに忘れられる
野生の猫は自分で狩りをして食料を確保していましたが、その成功率は決して高いわけではなく、失敗に終わることも少なくありませんでした。そんなとき、猫は“忘れるチカラ”を発揮して、落ち込むことなく次の狩りにチャレンジしていました。そのため、猫の“忘れるチカラ”は、食べて命をつなぐことや危険から身を守ることと同じように、生きていくために必要な能力だったといえるでしょう。
早く忘れるために「転位行動」をすることも
猫がジャンプに失敗したときや遊びで獲物(おもちゃ)を捕まえられなかったときなどに、早く忘れるために「転位行動」を見せる場合があります。「転位行動」には次のようなしぐさがあり、葛藤や動揺を紛らわせるために行っていると考えられています。
猫の「転位行動」で見られるしぐさ
- 毛づくろいをする
- 爪とぎをする
- あくびをする
- 窓の外の鳥などを見て「カカカ……」と鳴く
- 寝たふりをする など
猫にとって「大事な言葉」はよく覚えている
都合の悪いことはすぐに忘れられる能力をもっている猫ですが、自分にとって「大事な言葉」はよく覚えています。猫は一般的に10~20語程度の言葉を記憶できるといわれています。その中でも、自分にとって大事なことほどよく記憶しており、食べ物や怖かったことに関連する言葉をよく覚えている傾向があります。
失敗してもすぐに忘れて、いちいち落ち込まない猫の“忘れるチカラ”。そんな猫の前向きなチカラを、私たち人も見習っていきたいですね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年11月号『生きていくために、必要でした。猫が忘れないこと してあげたいお世話のことも』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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