愛猫の健康を維持するためには、動物病院への定期的な通院が必要です。感染症や寄生虫からも愛猫を守り、不調をいち早く見つけてあげたいもの。かかりつけの獣医師に、混合ワクチン接種や寄生虫対策、健康診断について相談してみませんか?
とはいえ、愛猫を連れて通院することが難しいと感じている飼い主さんもいます。今回は猫の飼い主さんに通院に関するアンケートを実施。通院の困りごとに対し、猫について専門家である獣医師の入交眞巳先生と服部幸先生にうかがったおすすめの対策を、動画でわかりやすく紹介します!
猫の通院に困っている飼い主さんの悩みは?
「ねこのきもちアプリ」のユーザーに、動物病院への受診に関するアンケート(※)を実施しました。97%の飼い主さんが愛猫を連れて年1回以上通院している一方、悩みがあることも明らかに!愛猫の健康維持のために、困りごとを抱えながらも通院していることがうかがえる結果になりました。
※「ねこのきもちアプリ」ユーザー調査。2025年4月実施。回答数187人
動物病院を受診する目的を教えてください
動物病院を受診する目的は「混合ワクチンを接種するため」が最多の72.2%にのぼり、続く「健康診断のため」「病気やケガの治療のため」もそれぞれ約55%でした(複数回答可)。一方、「寄生虫対策の薬を購入するため」は27.3%と少なく、寄生虫から愛猫や飼い主さん自身を守る手段についてあまり意識されていないことがうかがえます。
愛猫を連れて通院する際に困っていることを教えてください
愛猫の通院に「とても困っている」「やや困っている」という飼い主さんに困りごとをうかがうと(複数回答可)、「外出する際のストレス」が最多。通院ストレスの原因として「動物病院(場所や処置)が苦手なこと」「キャリーに入れるのが大変なこと」と、通院による愛猫の負担を挙げている方が多いとわかります。
【動物病院に出発する前の工夫】獣医師のアドバイス①「キャリートレーニング」
アンケートでは、愛猫の安全のためにキャリーケースを使用している方が90%以上。猫がキャリーに慣れていれば通院ストレスを減らすことにつながるかもしれません。東京農工大学農学部附属動物医療センターに勤務する獣医師・米国獣医行動学専門医の入交先生に、猫のためのキャリートレーニングを教えていただきました。特に対応が難しいと考えられる「院内」と「帰宅後(多頭飼育の場合)」については動画も確認しましょう。
猫の通院ストレスを抑えるためのポイント
(1)キャリーを猫の安全地帯にしましょう。
(2)おやつやフードを与えるときは、 楽しい気分とセットで。
(3)猫がキャリーに慣れるまで自由に出入りさせましょう。
(4)慣れてきたらドアを少しだけ閉めてみましょう。
(5)キャリーを持ち上げてみましょう。
【通院中・院内・帰宅後の工夫】獣医師のアドバイス②「猫の通院ストレスを減らす対策」
移動するときや動物病院の待合室で待っているときの愛猫の不安を減らしましょう。帰宅後のケアでも通院ストレスを減らせるかもしれません。入交眞巳先生がおすすめする猫を怖がらせないための対策を実践しましょう。
移動中と院内で猫を落ち着かせるためのポイント
(1)キャリーにカバーをかけましょう。
(2)キャリーの中ににおいがついている使い慣れたタオルを入れましょう。
(3)車移動の場合、シートベルトで固定します(キャリーの中で揺れ動かないようにします)。
(4)院内ではキャリーを床に置かず、高いところに置きます。
(5)キャリーにはカバーをつけたままにしておきましょう。
(6)待合室に犬がいる場合は距離をとりましょう。
帰宅後のケアのポイント
(1)帰宅したらお気に入りの場所で休ませましょう。
(2)多頭飼育のうち1匹のみの通院で帰宅した場合は、キャリー越しに同居猫と対面させましょう。
(3)動物病院に行った猫の頬の部分をタオルで拭ってにおい(猫の精神状態を安定させるフェイシャルフェロモン)をつけ、留守番をしていた猫の近くに置きます。
病院嫌いを防ぐために
(1)子猫のうちから動物病院に慣れさせましょう。
(2)動物病院まで行き、飼い主さんが入り口でおやつを食べさせる、もしくは院内でスタッフにおやつを食べさせてもらいましょう。
【健康診断や予防】獣医師のアドバイス③「飼い主の悩みごとに一問一答」
通院が苦手な猫の飼い主さんは、「うちのコの健康維持を心がけたいけれど、通院ストレスのほうが心配」という方もいるのではないでしょうか。そこで東京猫医療センターの院長を務める獣医師・服部幸先生に、飼い主さんの疑問や不安にアドバイスをいただきました。
病院嫌いのわが家の猫も健康診断を受けるべきでしょうか?
定期的に健康診断を受ければ病気を早期発見でき、結果的に病気を早く治せて通院回数を減らせる可能性もあります。猫の通院ストレスを減らす工夫を行うとともに、健康診断を受けることが大切です。
健康診断は何才から受けるべきでしょうか?
子猫のころは病気が少ないかもしれませんが、健康診断は早いうちに受けておきましょう。年齢を重ねるとなりやすい病気が変わるため、かかりつけの獣医師と相談しながら健康診断の検査内容を決めてください。
うちのコはずっと家にいるけれど、ワクチンは必要ですか?
脱走したとき、動物病院に行くとき、災害時に避難所で過ごすときなど、猫が集まる場所では感染症がまん延しやすくなります。基本的にすべての猫に混合ワクチンの接種は必要です。
高齢の猫にはワクチンは必要ないでしょうか?
むしろ高齢になると免疫力が下がってくるため、ワクチンで免疫力を上げて感染症をしっかり予防することが重要です。
完全室内飼育でも、ノミ・マダニ対策は必要ですか?
ノミやマダニなどの寄生虫が媒介する感染症は、室内飼育の猫でも発症します。さらに、人にもうつる「人獣共通感染症」が問題になっています。特にマダニによる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、死亡率が非常に高く、猫が60%以上※1、人が6〜30%※2になります。家族全員の健康を守るためにも寄生虫対策が必要です。
出典
※1:松嶋 彩,SFTSの感染状況と臨床像:臨床的特徴と検査,:2024年JCVIM学術大会プロシーディング
※2:国立感染症研究所HP(最終閲覧月:2025年1月), https://www.niid.jihs.go.jp/
マンションでの完全室内飼育の猫もフィラリア症にかかりますか?
蚊が吸血する際に、蚊が媒介する寄生虫に経皮感染してしまい、フィラリア症を引き起こすことがあります。感染した猫の約4割が完全室内飼育といわれ、マンションの10階以上に住んでいる猫が感染した例もあります(※)。たとえ完全室内飼育でも蚊に刺されるリスクがある以上、対策を心がけましょう。
※「ゾエティス営業員による全国の臨床獣医師に対する聞き取り調査(2008年~2024年2月)
かかりつけの獣医師に相談できる機会を増やしましょう
通院がスムーズにできるようになると、動物病院でいろいろな相談も可能になります。特に春夏に注意が必要な猫の感染症は「フィラリア症」です。蚊が媒介する感染症で、犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)という寄生虫が原因。主な症状としては、咳や喘息のような呼吸器症状のほか、食欲の減退、おう吐などさまざまです。
猫のフィラリア症は、犬に比べて症状の重症度や種類が多く、犬よりも診断がとても難しいことが特徴です。蚊は室内にも侵入するため、完全室内飼育の猫であっても予防しましょう。
幅広い寄生虫対策ができるうえ、液剤を垂らすだけのスポットタイプお薬も登場しています。速乾性があるタイプを選べば、猫に違和感を与えないようにつけられるのがメリットです。まだ対策を始めていない飼い主さんは早めに受診しましょう。
ムーミン×ゾエティス コラボレーションプロジェクト 「Human Animal Bond with MOOMIN」を開始 ~人と動物が共に、「らしく」生きられる豊かな社会へ~
ゾエティスは「ムーミン」とのCSR活動および製品タイアップを実施するコラボレーションプロジェクト「Human Animal Bond with MOOMIN」を実施しています。
「ムーミン」とのコラボレーションプロジェクトを通じて、犬、猫の健康と疾患予防、通院促進に関する情報などをわかりやすく発信しています。