猫が元気に長生きするためには、「腸の健康を保つこと」がとても重要です。
そこで今回は、腸の健康管理で得られるメリットや腸の健康を保つために飼い主さんができることなどを、獣医師の石川朗先生に伺いました。
「腸」は猫にとっても大切な器官です
人の健康にとって、腸の健康が重要であることはよく知られていますが、近年は猫の健康においても腸の重要性に注目が集まっています。
人も猫も腸の役割は同じで、栄養を吸収して不要なものを便として体外に排出すること。腸の健康状態によっては、腸炎や腸のリンパ腫などの病気を引き起こしたり、全身の健康に悪影響が出たりする場合もあります。
また、腸に生息する細菌の集まりを「腸内フローラ」といいますが、ここには体にとってよい働きをする善玉菌と、体にとって悪い働きをする悪玉菌などが存在しています。悪玉菌の割合が優勢に傾くことで体調悪化につながるケースがあるため、腸内環境を善玉菌が多い状態に整えることも大切です。
腸の健康管理による大きなメリット3つ
便秘対策になる
腸内フローラが整った状態は、栄養の吸収や不要物の排出が順調に機能し、日々の排せつをスムーズにしてくれます。ほどよく水分を含んだウンチは排出しやすいため、排便時にかかる猫の体の負担も軽減するでしょう。
ストレス軽減につながる
脳と腸の関係は「脳腸相関」という言葉があるほど密接です。脳で感じたストレスによって腸の機能が低下したり、病気を発症したりすることもあります。
免疫機能を良化する
人の花粉症対策として乳酸菌の摂取が推奨されているように、腸の状態は免疫機能に大きく影響をおよぼします。これは猫も同じで、腸が整って免疫機能が良化すると、アレルギーやアトピー性皮膚炎の発症などを抑えることにもつながると考えられているのです。
猫の「腸の健康」を保つために飼い主さんができること
トイレはすぐに掃除する
猫はきれい好きなので、トイレが汚れていると排せつを我慢し、ストレスを溜めてしまうことがあります。汚れたらなるべくすぐに掃除をして、きれいなトイレをキープできるよう心がけましょう。
また、トイレは静かな場所に置く、トイレは飼育匹数+1個以上用意するなども有効です。
1日の食事量を量ってから与える
フードの与えすぎが原因で肥満になると、便秘につながることも。1日の食事量を量ることで体重管理ができるうえ、食事量の変化にも気づきやすくなるなど、腸だけでなく全身の健康維持に役立ちます。
上下運動を行う
運動は、腸の働きによい影響をもたらします。また、前述したとおり肥満は便秘につながることもあるため、じゃらしおもちゃを使って猫タワーの上り下りを誘導するなど、上下運動を意識して行うといいでしょう。
腸はとても繊細な器官です。愛猫の健康長寿を叶えるためにも、改めて腸の健康維持を意識してみましょう。
お話を伺った先生/石川朗先生(練馬テイルズ動物病院院長 獣医師)
参考/「ねこのきもち」2025年6月号『健康寿命をもっと延ばしたいなら 腸の健康管理も大切でした!』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。