人が猫に癒されることで自律神経のバランスが整い、健康状態がよくなることを「ミャオ効果」といいます。これは医学的にも存在するといわれており、実際の検証では、なんと猫の写真を見るだけでも自律神経のバランスを測る数値が改善されるという結果が得られたのだそうです。
そこで今回は、具体的にどういった行動をとればミャオ効果の恩恵を得られるのかについて、人の自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に伺いました。
愛猫の手触りを感じる
人は、やわらかくて心地のよい肌触りのものに触れると、オキシトシンの分泌量が増えて自律神経が整います。猫も、飼い主さんにやさしくなでられると心地よく感じるので、相乗効果で互いに癒し合うことができるでしょう。
また、人の頬には神経がたくさん走っていて肌触りを感じやすいので、愛猫にそっと頬ずりをして、ふわふわした感触を味わうのもおすすめです。
愛猫のニオイを感じる
自分にとって心地よいと感じるニオイを嗅ぐことで、リラックス効果を得られるといわれています。お日様のようなニオイや甘いニオイなど猫のニオイはさまざまですが、多くの飼い主さんにとって、愛猫のニオイは心地よいものです。
また、自律神経を整えるのに深呼吸はとても有効なので、猫の体に顔をうずめて思い切りニオイを吸う、いわゆる“猫吸い”は、そういった意味でも健康効果が高いと考えられます。
愛猫が受け入れてくれるかどうかも重要なので、実践する際は愛猫の様子を見ながらにしましょう。
愛猫とコミュニケーションをとる
心を許した相手とコミュニケーションをとると、互いにオキシトシンが分泌され、ストレスが和らいだり気持ちが穏やかになったりする効果があるそうです。また、副交感神経が優位になって、自律神経のバランスが整いやすくなるともいわれています。
愛猫と触れ合えるのは、飼い主さんの特権です。スキンシップのほか、声をかける、オヤツを与える、おもちゃで遊ぶなど、愛猫とのコミュニケーションを楽しみましょう。
愛猫の体温を感じる
人は、適度な温かさを感じることで副交感神経がアップし、リラックスできると考えられています。愛猫の体温を感じると、触れ合いによる効果も相まってより一層癒されるはず。なでたりくっついたりして、愛猫のぬくもりを肌で感じてみるとよいでしょう。
愛猫の音を聴く
近年、猫が発する“ゴロゴロ音”が人の副交感神経を高めてくれることがわかってきました。ほかにも、猫と暮らしていると聞こえてくる、爪をとぐ音、水を飲む音、ドライフードを食べる音、トイレ砂をかく音など、何気ない日々の音は、一緒に暮らしているからこそ聞こえる幸せの音です。
小林先生によると、一定のリズムで繰り返される音は人にとって心地よく、耳にしていると自律神経が整うのだそうですよ。
愛猫と暮らすなかで「猫に癒されている」と感じることは少なくないはず。これが飼い主さんの思い込みではなく、医学的にも「ある」といわれているのには驚きですね。日々の生活で疲れたなと感じたら、愛猫と触れ合いながらミャオ効果を存分に浴びてみましょう!
お話を伺った先生/小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター)
参考/「ねこのきもち」2025年6月号『猫で人が“整う”理由を医学的に解説 ミャオ効果って、なに!?』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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