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猫の「転位行動」って?よく見られる行動や対策を専門家が解説します

猫がジャンプに失敗したときなどに、急に少しだけ毛づくろいをする光景を見たことはありませんか?こうした行動は「転位行動」と呼ばれ、ストレスと深く関係しています。今回は猫の転位行動について、帝京科学大学講師の小野寺温先生に教えていただきました。

転位行動とは?

キリッとした表情のアメリカンショートヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
高いところに飛びのろうとしたけれど落ちてしまったときなどに、猫が急に少しだけ脇腹などを毛づくろいすることがあります。これは失敗をごまかしているわけではなく、「自分のしたいことができなかった」という葛藤や動揺を、別の行動で紛らわせているのだと考えられています。

これは動物行動学の用語で「転位行動」と呼ばれ、哺乳類全般に見られます。猫の場合は、毛づくろいや爪とぎをすることが多いようです。

どんなときに転位行動をする?

目を見開くサイベリアン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
どんなときに転位行動をするのか、以下でご紹介します。

獲物を捕まえられなかったとき

捕らえようと襲いかかった獲物(おもちゃ)を逃してストレスを感じると、急に爪をとぐなどの様子が見られます。

音などに驚いたとき

地震・花火・物が落ちた音などに驚いたときに、「逃れたいのに逃れられなかった」という気持ちから転位行動をすることがあります。

体を拘束されて嫌だったとき

身動きが取れない状態で爪切りや歯磨きをされたときや、長時間の抱っこを強いられたときなどに、転位行動が見られることもあります。
いずれの出来事も、猫にとって究極的には死にもつながる危機的な状況です。ストレスを感じて瞬時に心拍数が上がりドキドキしますが、転位行動によって気持ちを落ち着かせ、平常心を取り戻そうとしているのだと考えられています。このほか、相性の悪い同居猫と鉢合わせたときや、住環境が変わったときなどにも転位行動が見られることがあります。

飼い主さんが気をつけることは?

リラックスして寝そべるマンチカン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
転位行動は、一時的な葛藤や動揺を自分で緩和するための健全な行動。やめさせる必要はありません。ただし、持続的にストレスを感じている場合は常同行動(※)につながることも。長く続くストレスは、原因を取り除いてあげましょう。

※ストレスから逃れるため、同じ行動を執拗に繰り返してしまう心の病気。

苦手なことに少しずつ慣れさせる

爪切りなどが苦手な場合、拘束して無理に行おうとしないで。1日に1本だけ切ってすぐおやつを与えるなど、好きなことと結びつけて少しずつ慣れさせ、ストレスを減らす工夫をしましょう。

ストレスの少ない環境づくりを

相性の悪い同居猫同士は生活スペースを分ける、来客が嫌いな猫は来客時に別の部屋に隔離するなど、猫が安心して過ごせる環境を整えましょう。
猫の転位行動は、基本的には見守っていてOK。もしもお手入れや生活環境などが原因になっているようであれば、ストレスを軽減させる工夫をしてあげてください。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年5月号『愛猫の失敗・我慢のあとの謎しぐさは転位行動かもしれません』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。
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