多くの飼い主さんが行っている愛猫への声かけ。さまざまな研究結果から、猫にいい効果があるということがわかってきました。上智大学総合人間科学部心理学科准教授の齋藤慈子先生に、興味深い3つの研究結果と、今すぐにでも始められる猫への話しかけ方をお聞きしました。
【研究からわかったこと】猫は飼い主さんの声の違いがわかる
猫に、飼い主さんの“人向けの発声”を複数回聞かせて刺激になれさせたのち、飼い主さんの“猫向けの発声”(赤ちゃん向けの発声)を聞かせると、猫は飼い主さんの“猫向けの発声”を聞いたときに、改めて反応するという研究結果が。
そのことから、猫は同じ飼い主さんの声でも、“人向け”と“猫向け”を区別できていると考えられます。
【研究からわかったこと】猫は声と表情を関連付けて学習している
猫に、人のうれしい声や怒った声を聞かせながら、笑顔と怒っている顔の写真を左右に配置して同時に見せるという実験では、猫は声と一致する表情の写真を見る傾向があるという結果が。
そのことから、猫は声と表情のリンクができていると考えられています。
【研究からわかったこと】飼い主さんも愛猫の要求ならわかる?
今度は、飼い主さんに対して行われた研究結果です。飼い主さんに、愛猫と見知らぬ猫が4つの状況で鳴いた音声を聞かせて、状況を当てられるかという実験。発声の対象となる状況は、「ゴハンの準備中」「ゴハンがもらえないとき」「閉じ込められたとき」「かまってほしいとき」の4つです。
すると、飼い主さんは知らない猫に比べて、愛猫の声に対する正答率が高いという結果が出たそうです。
研究結果をふまえて!心がけたい、愛猫への話しかけ新習慣
上記の結果をふまえて、愛猫に今よりも喜んでもらうための、声かけの習慣を3つご紹介します。
少し高めの声で優しくゆっくり話しかける
猫の耳は、獲物となる小動物の高い鳴き声を聞き取れるため、高い音に反応しやすい傾向が。猫に対して、つい赤ちゃんに話しかけるような話し方になるというのは、じつは効果的といえます。
猫の興味が向いているタイミングで声をかける
猫が飼い主さんに対して何か要求したいことがあるときは、声をかけるチャンスです。起床時や食事・遊びの前、スキンシップの最中、帰宅直後などは猫の意識が飼い主さんに向いているので、積極的に話しかけるといいでしょう。
愛猫の反応もチェックして、次の参考にする
話しかける声のトーンやタイミングが心地よかったかどうかは、猫の表情やしぐさにあらわれてくるもの。猫の前向きな反応を覚えておくと、次にコミュニケーションするときのヒントになるでしょう。
猫も飼い主さんも、お互いのことをよくわかっているようですね。双方に心地がいいタイミングと声を心がけて、積極的にコミュニケーションをしてみましょう。
お話を伺った先生/齋藤慈子先生(上智大学総合人間科学部心理学科准教授)
参考/「ねこのきもち」2025年10月号『研究結果からも大切さがわかった! 愛猫ともっと仲よく♡ おはなしコミュニケーション』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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