7才からシニア期といわれる猫ですが、20才を超える猫も珍しくなくなった昨今、シニア猫の年齢も幅広いものに。加齢による猫の変化を知って、それに応じたきめ細かなお世話をしてあげることが大切です。
そこで今回は、11~14才の「ミドルシニア」と呼ばれる猫を取り上げ、この年代の変化の特徴やお世話のポイントを、獣医師の小林清佳先生に解説していただきました。
11~14才の猫にはどんな変化が見られるの?
11~14才の猫は、人でいうなら還暦~古希くらい。俊敏さやジャンプ力が少しずつ衰えるなど、行動面の変化を実感し始める年代で、狩猟本能や警戒心が薄くなり、反応や動きも鈍くなりがちです。
また、体の保水力が落ちることで脱水しやすくなり、毛のツヤがなくなってくるほか、肉球が乾燥して滑りやすくなることも。そのほか、これまで以上に加齢性の病気にかかるリスクも高まります。
11~14才の猫に取り入れたいお世話
11~14才の猫には、以下のようなお世話を取り入れるといいでしょう。
水飲み場を増やす
高齢になるにつれ、腎臓の機能も徐々に衰えていきます。水分摂取量が少なくなると腎臓に負担がかかり、腎臓病のリスクを高めることに。いつでもすぐに飲めるよう、水飲み容器を複数箇所に置くなど、水分摂取量を増やす工夫をしましょう。
体型や体重に変化がないかをチェックする
この年代は、体重の増減に特に注意。体重が急に増えるのも減るのも、病気のサインの可能性があります。日々のスキンシップで体に触れて体型をチェックし、少なくとも2週間に1回は猫の体重を量って、変化がないかを確認しましょう。
猫のペースでできる遊びを取り入れる
この年代になると、筋力や俊敏さの衰えに伴って、激しい遊びはしなくなってきます。ジャンプやダッシュをさせるのではなく、低い位置でゆっくりおもちゃを動かすなど、無理なく猫のペースでできる遊びを取り入れましょう。
人が寒いと感じる前に冬支度を
猫はもともと寒さに弱い動物ですが、加齢とともに体温調節が難しくなり、急な寒さに対応できなくなっていきます。昼夜の温度差が大きくなる秋口は特に意識して、人が寒いと感じる前に早めに猫が暖かく過ごせる場所を用意してあげましょう。
“いい刺激”を与える
反応や動きが鈍くなりがちなこの年代の猫。なるべく驚かせないように大きな音や声は控えたい一方で、適度な刺激も必要です。ときには新しいおもちゃを与えたり、低くても窓の外が見えるところに居場所を設けたりするなど、“いい刺激”を与えて。
居場所にはクッション性のあるものを
11才を過ぎると、徐々にやせて骨ばってくる猫も。お気に入りの居場所には猫ベッドや、やわらかいタオルなどのクッション性のあるものを敷いてあげると、床に骨が当たらずゆったりくつろげるでしょう。
病気のサインに注意して日々の様子を観察することも大切
11~14才の猫は、病気になるリスクもグッと上がるので、日々の健康チェックがますます重要になります。食欲・排せつ・行動・表情は健康のバロメーターなので、いつもと変わりないか今まで以上に念入りにチェックしましょう。
下記のような変化には特に注意して、気付いたら早めに受診するようにしてください。
こんな変化は病気のサインかも
- 飲水量・オシッコ量が増える
- 急激にやせる
- 急激に毛並みが悪くなる
- 食欲があるのにやせる
- 以前より活発になり、落ち着きがない
- 目がギラギラして見える
- 黒目が細くならない
- 段差を上り下りするのをためらう
- 食べにくそうにしている
- 頻繁に吐く
- 排便の頻度がいつもより少ない
- 粘り気のあるよだれが出る
なお、加齢による変化の度合いは、同じ年代の猫であっても個体差があります。穏やかで快適なシニア生活を送るために、愛猫の状態に合った適切なお世話をしてあげたいですね。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2025年10月号『7才以上、注目! 高齢になるほど、細やかなケアが必要だから 年代別 シニア猫にしてあげたいお世話って?』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。