20才を超える猫も珍しくなくなった昨今、シニア猫の年齢も幅広いものになってきています。なかでも15才以上の「ハイシニア」と呼ばれる猫は、見た目にも年齢があらわれ、さまざまな機能が低下する傾向に。加齢による変化に応じた、きめ細やかなお世話を取り入れてあげましょう。
そこで今回は、15才以上の猫の変化の特徴やお世話・お手入れのポイントを、獣医師の小林清佳先生に伺いました。
15才以上の猫にはどんな変化が見られるの?
15才を超えると、やせて毛割れが目立つなど、見た目にもしっかり年齢があらわれるように。また、食欲が落ちて睡眠時間はさらに長くなり、毛づくろいや爪とぎもあまりしなくなります。
さらに、体は病気にかかりやすく治りにくい状態に。できるだけストレスを与えないようにし、その日その日を穏やかに過ごせるように配慮しましょう。
15才以上の猫に取り入れたいお世話の工夫
15才以上の猫には、次のようなお世話を取り入れるといいでしょう。
段差が越えられなくなったらスロープやステップの設置を
筋力が衰えたり関節に痛みがあったりすると、今まで越えられていた段差を越えにくくなることも。状況によって、猫トイレや生活スペースにスロープやステップを設置するなど、段差を減らす工夫が必要になります。
コンパクトなスペースに猫トイレと水飲み場を設置する
猫トイレや水飲み場が居場所から離れていると、行くことすら面倒に感じて我慢してしまう猫もいます。健康を損なうリスクになるため、これらは居場所から近いスペース内に設置し、家中どこにいても行きやすいよう、猫トイレや水飲み容器は複数用意しましょう。
大きな環境の変化はできるだけ控えて
猫はもともと環境の変化を好みませんが、年を重ねるほど環境の変化に適応が難しく、ストレスが大きくなります。ハイシニアの猫がいる場合はとくに、引っ越しや模様替えなどの大きな変化はできるだけ控えるように意識しましょう。
食べやすいようフードの与え方を工夫して
ハイシニアになると、フードをポロポロこぼしたり、舌ですくい取れなくなったりするなど、うまく食べられなくなる猫も。そんなときは、食べやすい粒の大きさ・硬さ・形状のフードを選ぶ、食事台を使うなど、猫が食べやすくなるように工夫をしましょう。猫が自分で食べられない場合は、ドロドロにしたフードをスプーンやシリンジなどで与えます。
便の硬さや排便のペースを毎日チェック
ハイシニアの猫は、便の水分量が少なく排せつに要する筋力も落ちるため、便秘になりがちです。排便の頻度や便の硬さを毎日チェックして、いつものペースで排便していない場合や、便が硬すぎたり少量しか出ていなかったりした場合は、早めに受診をしてください。
15才以上の猫に取り入れたいお手入れ
15才以上の猫のお手入れでは、次のような点に気を配りましょう。
汚れが目立つときはやさしく拭いてあげて
歯周病の猫が菌を含んだ唾液で毛づくろいをすると、なめた部分がかえって汚れてしまいます。ほかにも、目ヤニや鼻汁が増えるなど、汚れやすくなるハイシニアの猫。汚れが目立つときは蒸しタオルやペット用のボディケアシートでやさしく拭き取ってあげましょう。
ブラッシングや爪切りはこまめに行う
ハイシニアになると、毛づくろいをして自分のお手入れをすることが減ってきます。爪をとぐ頻度も減り、巻き爪になると、肉球を傷つけてしまうことも。ブラッシングや爪切りといったお手入れは、こまめにしてあげましょう。
なお、同じ年代の猫でも、加齢による変化の度合いは猫それぞれです。穏やかで快適なシニア生活を送るためには、愛猫の状態に合った適切なお世話を取り入れてあげることが大切ですよ。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2025年10月号『7才以上、注目! 高齢になるほど、細やかなケアが必要だから 年代別 シニア猫にしてあげたいお世話って?』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありません。