猫は骨や関節に痛みを抱えていても、異変を見せずに行動できることが多いため、飼い主さんが病気やトラブルに気付きにくいといわれています。
そこで今回は、日常のちょっとしたしぐさからわかる痛みのサインを、獣医師の重本仁先生に伺いました。
動作がおかしい
段差の上り下りがスムーズにできない
階段などを上り下りする途中でしきりに休んだり、跳ねるように上ったり、体を横向きにして一段ずつ下ったりするなどのしぐさは、痛みのサインかもしれません。
ジャンプをためらう
猫が痛みを感じている場合、高所からのジャンプは体に負担がかかるため、飛び降りるのをためらうことがあります。逆に、床から猫タワーなど、低いところから高いところに飛び乗るときにためらうことも。
「飛びたいけれど飛びたくない……」といったような様子が見られたら、注意してあげてください。
トイレがうまく使えない
痛みの影響で、トイレの入り口をうまくまたげなかったり、トイレに入るのがおっくうになってトイレ以外の場所で粗相をしたりすることがあります。
足を引きずる
足を引きずって歩いているのは明らかに異常がある証拠なので、速やかに動物病院を受診しましょう。歩く様子を動画で撮影しておくと、受診の際に役立ちますよ。
見た目や行動の変化
爪をあまりとがない、爪が伸びる
爪とぎは猫の本能からくる行動ですが、足を踏ん張って行うため骨や関節への負担が大きく、痛みがあるとやりにくくなります。爪がいつもより長かったり、爪とぎをしていなかったりしたら、体の痛みを疑ってみましょう。
毛づくろいが減る、毛ヅヤが悪くなる
毛づくろいはアクロバティックな体勢で行うことが多いため、痛みを抱えた猫にとっては難しい行動のひとつです。毛づくろいの時間が減ったり毛ヅヤが悪いと感じたりしたら、それは痛みのサインかも。
寝ている時間が多くなる
動くと痛みを感じる場合は、寝床でじっとしている時間が増えます。シニア猫の場合は「もう年だし……」と見過ごされがちですが、ほかの痛みサインも見られるようなら、ケガや病気が潜んでいるかもしれません。
気分や性格の変化
飼い主さんとのコミュニケーションが減る
飼い主さんとのコミュニケーションが好きだった猫が急にそっけなくなったり、飼い主さんから逃げ隠れするようになったりしたら要注意。「痛いから放っておいて!」というサインかもしれません。
食欲が低下する
体に痛みを感じていると、食べる元気がなくなることも。また、痛みによって活動量が低下すると、食べる量も減りがちです。
怒りやすくなる
飼い主さん側が接し方を変えていないのに、愛猫が怒りやすくなったり攻撃的になったりした場合、痛みを抱えた自分自身を守るためにそのような行動をとっているのかも。触れられることで痛みが走ったときなどは、とっさに攻撃をしてくることもあります。
猫の痛みサインはたくさんあるので、飼い主さんから見て「何かがおかしい」と思ったら、放置せず早めに動物病院で相談をしましょう。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2024年6月号『遺伝・事故・肥満…老化以外でも起こりうる 猫の骨・関節トラブル』
文/東里奈
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