猫のダニ被害にはどんなものがある?
猫につくダニには、さまざまな種類のものがありますが、代表的なのが「マダニ」です。マダニは屋外の草むらなどに生息し、猫の体に取り付いて血を吸います。血を吸う前は小さくてほとんど肉眼では見えませんが、吸うと100~200倍の大きさになり、人間の目でも目視できるようになります。
かゆみや痛みがあっても軽度で猫の様子からは気づきにくいので、草むらなどに行ったことが分かったら、飼い主さんが体を点検してあげましょう。足の指の間などに取り付いていることも多いので、しっかりと確認することが大切です。
血を吸ったマダニは、テントウムシくらいの大きさで赤黒いような色をして、じっと動かずに皮膚表面に貼り付いています。もし見つけたら自分では取り除かず、動物病院で取り除いてもらいましょう。自分で取るとダニの頭が猫の体内に残ってしまい、頭からまた体が再生してしまいます。
マダニによる感染症
吸血がひどくなると貧血を起こす恐れもありますが、これらの症状はマダニの一次被害にすぎません。もっと怖いのは、マダニによる感染症。特に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、1~2週間の潜伏期間後、発熱、下痢、嘔吐、出血、意識障害などの症状が出ます。人間での症例が報告されており、犬や猫でも同様の症状が出る可能性があるとされています。
同じく感染症の「猫ヘモプラズマ症」は、マダニのもつマイコプラズマに属する細菌に猫が感染することにより、貧血や体重減少、食欲減退、黄疸などの症状が現れます。その他「ライム病」や「バベシア症」という症状がありますが、これらは人や犬に見られ、猫ではまだ症例が報告されていません。
ダニの予防には
マダニの予防には、滴下型のスポットタイプと、全身にスプレーするタイプの2種類の駆除薬があります。スポットタイプは肩甲骨の間に数滴垂らすもので、月1回の投与で1か月間効果が続きます。スプレータイプはスポットタイプの使えない子猫や、妊娠中、授乳中の猫にも使えるものもあり、即効性と持続性に優れているといわれています。動物病院で体重を測り、適切な量とタイプを処方してもらいましょう。
耳疥癬(耳ダニ感染症)
マダニ以外のダニでは、耳疥癬(みみかいせん・耳ダニ感染症)があります。これは耳の中に寄生する0.2ミリほどのダニで、猫が首を振ったり、かゆがったりしていたら、耳の中を確認して見てください。黒っぽいガサガサした耳垢があったら、この耳ダニが寄生している可能性があります。
その他のダニ
「ニキビダニ感染症」は、猫の皮脂腺や毛包に寄生するダニで、皮膚炎や脱毛といった症状が現れます。頭や耳、首など部分的な場合もありますが、全身に広がることもあります。
「ツメダニ症」は、背中や体幹部に白い粉のようなフケが見られます。かゆみの程度は個体差がありますが、フケが多いと感じたらこのダニの可能性を疑ってみましょう。
ここまでダニの話をしてくると、もう考えただけでかゆくなってきた!という人もいることでしょう。大切な愛猫がダニ被害に遭わないよう、駆除薬などでしっかり対策していきたいですね。
参考/ねこのきもち WEB MAGAZINE「【獣医師が解説】猫のマダニ問題!対策すべき病気と駆除薬の使用法」(監修:ねこのきもち相談室獣医師)
ねこのきもち WEB MAGAZINE『病気・症状データベース』
ねこのきもち WEB MAGAZINE『獣医師が答えるQ&A』
文/chiroko
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。