単独行動をする動物として知られている猫ですが、表情で頻繁にコミュニケーションを図ってきたとされています。そんな猫は、どんな表情で「喜怒哀楽」を表現するのでしょうか。今回は猫の表情でわかる喜怒哀楽についてご紹介します。
【喜】欲求が満たされ、笑顔になる
猫にとっての一番の「喜び」は、欲求が満たされること。飼い猫の場合は、大好きな飼い主さんとのコミュニケーションも「喜び」のひとつと言えますね。
どんな表情をするの?
猫は「喜び」の気持ちを表現するとき、イキイキとした“笑顔”を見せることがあります。他にも一瞬ですが、耳はしっかりと立ち上がり、大きく見開いた瞳には、たくさんの光が入るため、キラキラと輝いて見えることも。また、満足感や達成感で興奮しているため、ヒゲは少し張り、舌なめずりをすることで、嬉しい気持ちを落ち着かせるしぐさを見せることもあります。
【怒】口を大きく開けて牙をむき出しにする
猫が「怒り」の表情を見せるのは、気分を害したときや、身の危険を感じたときです。そのため、室内で適に暮らす猫が「怒り」の表情をすることは少ないはず。もしも、室内飼いの愛猫が怒りの表情を見せたときは、遊びに誘うなどして気分転換をしてあげましょう。
どんな表情をするの?
猫は危険を察知して驚くと、黒目(瞳孔)が瞬時に広がり、その後、対象に照準を定めるため黒目が細くなります。また、「怒り」を感じているときは、口を開けて威嚇するため、ヒゲが顔の後方斜めに反り、大きく開いた口からは、牙(犬歯)がむき出しになることが多いようです。急所ともいわれる耳は、ダメージを受けないように、反らせたり頭部に沿わせたりして守るのも「怒り」の表情の特徴の一つです。
【愛】脱力して目も口も半開きになる
猫は警戒心が強く、一般的には限られた場所でしかリラックスした姿を見せません。愛猫がリラックスした表情を見せたのなら、それは飼い主さんのことが大好きで、信頼している証拠でしょう。
どんな表情をするの?
猫は好きな人の前でリラックスすると、顔の表情筋をゆるませます。そのため、目に力が入らず半開きの細目になり、猫によっては目頭から瞬膜(白い目の保護膜)が出ることもあります。口を閉じるための筋肉さえもゆるむので、口が半開きになる猫も多いようです。
また、頭部の筋肉もゆるんでいるので、耳は左右に開き、ヒゲの付け根にも力が入らずヒゲはゆったりと下に垂れた状態になります。このように、脱力した表情をするのが、猫の「愛」の表現方法なのでしょう。
【楽】いちばん“ねこらしい”表情をする
飼い猫の楽しみといえば、「遊び」です。猫は動くものを目にすると好奇心が掻き立てられるため、興奮した表情を見せます。つまり猫の「楽しい」時の表情は、好奇心を掻き立てる対象が何なのかを確認するために、全神経が集中している様子のことをさします。
どんな表情をするの?
周囲の情報を多く取り入れるため、瞳孔が開き黒目がちになった後、“獲物”に焦点を合わせるため、瞳孔は一気に細くなります。また、耳を小刻みに動かして音源を探り、音源がわかったらその対象にまっすぐと耳を向けて好奇心の対象を調べるように、ヒゲを前に向けることも。
他にも、楽しくて興奮するとヒゲの付け根の筋肉が萎縮し、ぷっくり膨らみ、血行がよくなって鼻がピンク色になることがあります。いわば、猫が「楽しい」ときにする表情は、いちばん“猫らしい”表情とも言えるでしょう。
愛猫の表情をチェックして気持ちを理解しよう!
ちなみに、猫には「喜怒哀楽」の一つ、「哀」の感情はないのだそう。自然の中で生き抜いてきた猫にとって、相手を哀れむ余裕などなかったのだと考えられています。
しかし今回、猫には「哀」以外のさまざまな感情があり、表情でその気持ちを表現することがわかりました。これを機に、愛猫の表情を観察してみてはいかがでしょうか。本当の気持ちが見えてくるかもしれませんよ!
参考/「ねこのきもち」2016年6月号『ねこの喜怒愛楽』(監修:哺乳動物学者 今泉忠明先生)
文/佐藤
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。