今回は「猫の生殖器にまつわる病気」について、新潟県新潟市にある「小島動物病院アニマルウェルネスセンター」の小嶋佳彦先生にお伺いしてみました。猫の生殖器にまつわる3つの病気を取り上げて、症状や治療法などについて解説します。
“メス”の生殖器の病気「子宮水症」
「子宮水症」とは、子宮に水がたまってしまう病気で、猫が横になると子宮の部分が膨らみます。避妊手術中に発見されることも多いようです。
<症状>
飼い主さんは、猫が寝ているときにぽっこりと出たお腹を見て、異変に気が付くことが多いのだそう。症状が進むと腹部が圧迫されて、食欲が低下してしまうことがあります。
<治療法>
直接的な原因は明らかになっていませんが、早期に子宮と卵巣の摘出手術を行えば、おおよその完治が期待できるようです。
“メス”の生殖器の病気「子宮蓄膿症」
子宮内に入った細菌が増殖して、膿がたまってしまう病気です。膿がたまりすぎると、子宮が破けることも。発情後、卵巣のホルモン分泌バランスが悪いと、起こりやすくなります。
<症状>
悪化すると元気がなくなり、嘔吐や多飲多尿といった症状があらわれます。また、陰部から膿が出てくる場合もあるようです。
<治療法>
膿がたまっている子宮や卵巣を、手術によって取り出します。その後、輸血療法や抗生剤の投与も行います。
“オス”の生殖器の病気「潜在精巣」
「潜在精巣」 は、オス猫の生殖器の病気です。オス猫は、生まれてから約30日後には、精巣が陰嚢(いんのう)内に下降します。しかし、うまく下降せずに腹腔内に留まってしまうことがあり、その状態を「潜在精巣」と言います。放っておくと腫瘍化する可能性もあるので、去勢手術を受けましょう。
小嶋先生教えて!生殖器の病気を防ぐためにできること
最近では、生殖器に関する病気は減少傾向にあります。それは、飼い主さんの意識が高まり、生後6ヶ月くらいまでに去勢手術や避妊手術を行う方が増えているから。生殖器の病気は、性成熟前に去勢・避妊手術を受けることで防げるものがほとんどなのです。
生殖器の病気は、早期発見と適した治療で防げることが多いようですね。メリット・デメリットはあるものの、できれば去勢・避妊手術も早めに行っておくとよいでしょう。愛猫の負担を減らすためには、飼い主さんが正しい知識を身につけておくと安心ですよ。
病院DATA
小島動物病院アニマルウェルネスセンター
住所:新潟県新潟市秋葉区秋葉2丁目14-68
電話番号:0250-24-2223
※この記事は、2016年4月の取材段階のものです。
参考/「ねこのきもち」2016年5月号『獣医師が今、伝えたい病気26』(監修:小島動物病院アニマルウェルネスセンター 獣医師 小嶋佳彦先生)
写真提供/小島動物病院 アニマルウェルネスセンター
イラスト/尾代ゆうこ
文/ishikawa_A