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奈良県の愛護センターが取り組む"未来の保護猫を減らす"ための地道な活動とは

※この記事の情報は、2017年4月10日段階のものです。

JR奈良駅から車で1時間ほど南に行ったところにある、うだ・アニマルパーク(以下、「パーク」)。その敷地内に、同年に開設されたのが、奈良県中和保健所動物愛護センター(以下、「センター」)。保護猫・保護犬のお世話をメインに行う一方で、従来の「保健所」のイメージとしてつきまとう殺処分もやむを得なく行っている施設です。センターとパークは今、県の抱える深刻な問題をどうにかすべく、一丸となって解決に取り組んでいます。
撮影/尾崎たまき
撮影/尾崎たまき

猫の展示法などを工夫し認知度アップを目指す

「殺処分ゼロ」よりも「不適正飼育ゼロ」を目下の目標にし、適正譲渡に取り組むセンター。県民にとって、保護動物がより身近な存在になるよう、2012年くらいから、平日のみだった開放日を、パークへの来場者数が多い、土日祝日にも拡大しました。
さらに、託児ブースだったスペースをリフォーム。「にゃん友ルーム」と名付け、室内飼育のモデルルームをつくり、その中で猫の展示飼育を開始。「センターはパークの片隅にあるので、人が集まりにくかったのですが、ガラス張りで外からでも猫が見えるようになったことで、以前より多くの方が足を運んでくれるようになりました」とセンター所長の本岡直樹さん。
にゃん友ルームは、中に入って猫と触れ合うこともできます。「猫が人になれる機会にもなり、より譲渡につながりやすい猫になってくれるのではと期待しています」。
撮影/尾崎たまき
撮影/尾崎たまき
譲渡対象の猫は、日中にゃん友ルームで過ごします。ケージや猫トイレなど、猫を飼うのに必要な物が揃っています。触れ合い希望の場合は、当日現地で予約可能

回り道だとしても方針を変えずに解決していきたい

譲渡率が上がらず、多くの猫が処分に至ることについては、県内に民間の保護団体がほぼないことにも起因します。「全国の行政機関では、民間団体と協力しながら、基準をクリアした飼い主さんへ譲渡できることが多いのですが、奈良県はそのルートが乏しく、適正な譲渡先が見つかりにくいのです」(本岡さん)。
 猫の繁殖期に入ると問題になるのが、譲渡率のアップを一番としない、“効率の悪い”方法を選ぶがゆえに、施設が猫で飽和状態になりやすいこと。繁殖期を前に、それを懸念したセンターは、昨年末から子猫の飼養ボランティアの募集を開始。乳飲み子猫を一般宅でしばらくお世話してもらおうというのです。「やはりこの募集にも厳しい基準を設けてはいますが、この試みが成功すれば、収容数の問題も解決に向かいますし、猫は人になれて、より譲渡に適する性格にもなってくれるはずです」(本岡さん)。
 譲渡した猫に、再び会うことのないよう、地道な努力は続きます。

問い合わせ先

奈良県中和保健所動物愛護センター
☎0745・83・2631
センターの活動内容などについては、ウェブサイトにも記載されています。
URL http://www.pref.nara.jp/1734.htm
出典/「ねこのきもち」2017年6月号「猫のために何ができるのだろうか」
文/「ねこのきもち」編集室
撮影/尾崎たまき
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