猫が自ら取る飼い主さんとの距離と、お互いの心の距離感との関係性について疑問に思っている飼い主さんもいるかもしれません。今回は人も猫も居心地がいいと感じる距離感を“しあわセンチ”と称し、しあわセンチとお互いの親密度について解説します。
猫にも「ここまでなら大丈夫」という距離感があるってほんと?
猫と人との距離感
パーソナルスペースという言葉があるように、人には他人に近づいてこられると不快に感じる領域が存在します。これと同様に猫たちにもそれぞれ「この人ならここまで近づいてこられても平気」という距離感、すなわち縄張りがあります。猫は人と接するとき、縄張りに入れてもいい人なのかどうかを判断し、距離感を保っているのです。
人との距離が近いほど親密度は高い
人は仕事仲間や友人と過ごすときよりも、家族や恋人と過ごすときのほうがお互いの距離感が近くなります。これには親密度の違いが関係しており、親密度が高いほど距離感は近づく傾向にあります。
猫の場合であっても、近くにいたほうが安心できるのか離れているほうが落ち着くのかによって、他者との距離感は変わることが多いです。つまり人との距離が近ければ近いほど、親密度が高く信頼しているといえるのです。
そう考えると、猫が飼い主さんの近くに寄ってきて同じ時を過ごそうとするのは、飼い主さんに対する愛情表現のひとつなのかもしれませんね。
いぬのきもちねこのきもち読者さんのしあわセンチ
ここでは、いぬのきもちねこのきもちの読者さんに聞いた、「我が家のしあわセンチ」を2つ紹介します。人との距離が0cmだったり20cmだったりと、各家庭ならではのさまざまなしあわセンチがあるようです。
ケース① Aさん宅のしあわセンチ
まずはスコティッシュフォールドなどの計4匹の愛猫たちと暮らす、Aさん一家のケースを見ていきましょう。Aさん宅では飼い主さんがお布団で寝ていると、愛猫がやってきて飼い主さんの足元にぴったりと身体をくっつけて休むことがあるのだとか。このときの猫と飼い主さんの距離は、なんと0cm。飼い主さんに対する安心感があるからこその行動だといえそうです。
ケース② Mさん宅のしあわセンチ
猫を1匹飼っているMさん宅では、ご夫婦がそろってご飯を食べていると愛猫のTちゃんが2人の間に入ってきて、ごろんと寝転がるのだそうです。このときのご夫婦と猫との距離は各20cm。片方に近づいたり離れたりするのではなく等間隔を保っていることから、Tちゃんはどちらにも同じくらいの信頼感をもっていることがわかります。
もっと近づいてほしい!猫との距離の縮め方
なでると喜ぶ部分をなでてあげる
猫は自分が気持ちいいと感じるポイントをなでてもらえると、「またなでてほしい」という気持ちから飼い主さんの近くに行くことがあります。愛猫が好きなポイントを探し出せたら、愛猫が満足しきる前に終えることを意識しながら、優しくなでてあげてみてください。
うす目で見つめる、まばたきをする
お互いの距離感が近くなると、自然と人と猫が目を合わせる機会も増えていきます。しかし猫は目を合わせ続けると飼い主さんを警戒するようになりますので、猫にもっと近づいてもらうためには適度にうす目で見つめたり、まばたきをしたりすることも大切です。
目による合図で「大丈夫だよ」ということを伝えてあげられれば、猫は人への警戒心が少なくなり、飼い主さんにもっと近づきたいと感じるようになるはずです。
愛猫と飼い主さんそれぞれが居心地のいい距離感を目指して
「愛猫が近づいてこない」「いつもそばにいる」など、人との距離の取り方は猫の性格や個性によっても異なります。今回紹介したことを参考に、愛猫と飼い主さんそれぞれが居心地のいい距離感を見つけることで、お互いの信頼関係をより確かなものにしていってくださいね。
参考/「ねこのきもち」2016年1月号『猫ごとの距離の「縮め方」「遠ざけ方」「保ち方」がわかる! 愛猫とのしあわセンチを測ってみよう』(監修:帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
文/子狸ぼん
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。