循環器とは何か、生まれつき心臓が悪い猫はいるのかなど、循環器の病気に関してさまざまな疑問を抱えている飼い主さんもいるかもしれません。今回はもしものときのために知っておきたい猫の循環器にまつわる最近の傾向と、心臓の病気の早期発見法を解説します。
循環器の病気に関する近年の傾向
検査技術が進み循環器の病気=心臓病の発見数が増加傾向に
全身に血液やリンパ液を巡らせる器官のことを循環器と呼びます。猫の場合はリンパに関わる病気について解明されていることがほとんどないため、一般的には循環器の病気というと、主に心臓の病気を指すことが多いです。
心筋症や心不全、フィラリア症などの心臓病の多くは、超音波によって検査をします。近年では検査機器が発達し、より詳細に心臓内の検査を行うことが可能になったため、病気の発見件数は増加傾向にあります。よって今後は、循環器の病気の解明もさらに進んでいくかもしれません。
心臓の病気を発症しやすい年齢や猫種とは
心臓の病気を発症するのは中齢(5才くらい)以降の猫が多く、さらに最近では純血種のオスの猫に心筋症の症状がよく見られるということも判明しています。純血種のなかでも特に心筋症にかかりやすいのは、メインクーンやアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなどです。いずれも理由は不明ですが、おそらく遺伝的な要因があるのではないかと考えられています。
病気の早期発見のために飼い主さんができること
自宅では呼吸数のチェックを
寄生虫が原因のフィラリア症は例外ですが、循環器の病気の多くは生まれつき猫がその病気の危険因子をもっていることで発症します。そのため現状では病気を予防することは難しく、一日でも早い発見と治療の開始が求められますが、循環器疾患の初期症状は見ただけでは分かりにくいことがほとんどです。よって愛猫の小さな異変に気付き病気を早期発見するためには、日頃から猫の様子をよく観察したり、動物病院で検査を受けたりする必要があります。
循環器の病気の症状で代表的なのが、呼吸の乱れです。猫の呼吸数は安静時で1分間に30回弱程度のことが多いので、自宅にいる際はときどき寝ている猫の呼吸数をチェックして、呼吸に変化がないかを確かめてみましょう。
動物病院では超音波検査を受けてみても
猫が危険因子をもっていた場合、いつ発症するのか分からないのが循環器の病気の恐ろしいところです。先述したように愛猫が純血種のオス猫や中齢以降の猫なら、一度動物病院で超音波検査を受けてみるのもよいかもしれません。
循環器の病気は早期発見によって進行を遅らせることができる
予防と同様の理由で、循環器の病気は完治が難しいといわれていますが、早期発見さえできれば症状を緩和させることや進行を遅らせることは可能です。愛猫にいつまでも健康で長生きしてもらうためにも、自宅にいる際はこまめに愛猫の様子をチェックし、病気の早期発見を目指していきたいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年8月号『最新情報や気になるワードも 猫医療の現場から』(監修:フジタ動物病院勤務 日本獣医循環器学会所属 獣医師 馬場亮先生)
イラスト/chizuru
文/子狸ぼん
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