高温多湿の日本の夏は、私たちも体調管理が大変です。全身を毛に覆われている猫は、体温調節に苦労するでしょう。今回は、猫の夏バテと熱中症の違いや室内で起こった実例を挙げ、舌の色で体の状態をチェックする方法などをご紹介します。
「夏バテ」と「熱中症」の違い
「夏バテ」と「熱中症」は、似ているようで実は違うものなのです。それぞれどのような状態を指すのか、おもな症状とともに解説します。
「夏バテ」とは
「夏バテ」の特徴は、高い気温や湿度にさらされることにより、体調不良が長期間続くこと。おもに次のような症状が見られます。
・食欲がいつもより落ちている。または食欲がない。
・動きや反応がにぶくなり、元気がないように見える。
・下痢気味。または下痢になっている。
「熱中症」とは
「熱中症」の特徴は、急激な気温上昇に体が対応できず、短い時間で症状が出ること。おもに次のような症状が見られます。
・体を触ると熱い。
・苦しそうに口呼吸をしている。
・フラフラと足取りがおぼつかない。
熱中症の症状がひどくなると
熱中症がひどくなると、次のような症状があらわれることもあります。
・天を仰ぐように口呼吸する。
・自力では動けなくなる。意識がない。
屋内で起こった夏バテと熱中症の実例
実際にあった、屋内での夏バテ・熱中症の事例を見ていきましょう。詳しい解説付きでご紹介します。
窓辺で日向ぼっこした後…
窓辺がお気に入りの愛猫は、シニアになっても日向ぼっこは欠かしません。その日もいつものように日向ぼっこをしていましたが、夕方から動きが鈍くなり、だるそうな様子に。嘔吐を繰り返してしまいました。
・これは「夏バテ」かも
一般的に、猫は暑くなると自分で移動しますが、シニアの場合は関節炎の痛みなどから動くのがおっくうになることも。その結果、日に当たり過ぎてバテてしまうことがあります。シニア猫が日向ぼっこをしているときは、ときどき様子を見て異変に気付けるようにするのがいいでしょう。
仕事へ行っている間に…
真夏ではなかったので、窓を少し開け網戸にして仕事へ。8時間後に帰宅すると、部屋には西日が差し込み室温は30℃。そこにいた愛猫は、苦しそうな呼吸をしていました。
・これは「熱中症」かも
5~6月や9~10月は、真夏ほど気温が上がらないので飼い主さんは油断しがちです。室内の環境によっては、窓を開けていても日中は35℃近くになる場合もあります。気温が上がりそうな日はエアコンを28~30℃に設定したり、日が差し込みやすい部屋のカーテンを閉めたりして対策をしましょう。
舌の色をチェックして!
猫が息切れをして口呼吸を繰り返すなど、熱中症のような症状が見られる場合、舌の色をチェックしてみましょう。濃い赤色をしていたら「熱中症」、薄いピンクや白色をしていたら「貧血」を起こしているかもしれません。いずれの場合も、獣医師の診察を受けて適切に対処しましょう。
室内にいても、夏バテや熱中症になることはあります。飼い主さんの思いもよらないタイミングで起きている場合もあるので、常に注意してあげたいですね。
参考/「ねこのきもち」2016年8月号『真夏の夏バテ・熱中症事件ファイル』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
イラスト/河南好美さん
文/HONTAKA