猫の腸内環境を良好に保つためには、「食事管理」「ストレスのない環境づくり」「適度な運動」が重要なポイントとなります。では具体的に、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
今回は、猫の腸のために飼い主さんが意識したいことを、「食事」「環境」「運動」の3点から、獣医師の石川朗先生に解説していただきました。
猫の腸内環境を整える「食事管理」
まずは、腸の健康維持のために食生活で気を付けたいポイントを見ていきましょう。
腸内の細菌バランスを整える食生活を意識する
腸には、腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれる数百兆個もの細菌が存在し、そのバランスが整っていると、健康な消化機能を維持でき、ウンチの状態(便質)も安定、健康な猫の免疫機能を維持できます。
腸内フローラは善玉菌、悪玉菌、日和見菌で構成されますが、善玉菌の割合が多い状態が「バランスの整った、良好な腸内環境」です。
腸内の善玉菌を増やすには、直接口から善玉菌を摂取する(プロバイオティクス)か、善玉菌のエサを摂取する(プレバイオティクス)が有効。代表的なプロバイオティクスは乳酸菌やビフィズス菌で、代表的なプレバイオティクスはオリゴ糖や食物繊維です。
最近は、腸内環境を整えることを目的とした機能性フードや、プロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取を目的としたキャットフード、サプリメントも販売されています。
愛猫の食性に合った栄養バランスよいフードを与えて
腸内環境を整えるためには、プロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取に加えて、栄養バランスのよい食事がそもそも重要です。
猫は肉食性で、タンパク質や脂質がおもな栄養源。そのため、肉や魚を中心とした、たんぱく質が豊富な食事が適しています。「総合栄養食」ならば、たんぱく質のほか、炭水化物(糖質・繊維質)、脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれています。
水分不足や不衛生な食事にならないよう注意を
適切な水分摂取は腸のぜん動運動を助け、便秘を予防します。水は複数カ所に設置し、こまめに替えて新鮮さを保ちましょう。自動給水器やウエットフードを利用すると、より猫が水分を摂りやすくなります。また当然ですが、食事や水は衛生的なものを与えましょう。
腸内環境にも影響する「ストレスのない環境づくり」
猫がストレスを感じるような要因を取り除くことが腸内環境にも影響し、健康維持や病気予防につながります。
猫のストレスになる要因とは
- 引っ越し、模様替え、新しい家具の購入などの環境の変化
- 新入りの猫、来客
- 不衛生なトイレ環境
- 近所の工事、香水、アロマなどの大きな音や強いニオイ
- 飼い主さんとのコミュニケーション不足や過干渉
- 長時間の留守番、遊びや刺激の不足などによる退屈
猫がストレスや不安を感じやすい代表的な要因は、「環境の急激な変化」です。そこで、引っ越しなどの際は、猫のニオイのついた毛布やおもちゃ、トイレなどを使いましょう。いつもと変わらないニオイをかぐことで猫は安心し、ストレスが軽減されます。
清潔で安全な環境づくりをしよう
「食事」「運動(遊び)」「睡眠」がしっかり取れる、衛生的かつ安全で平穏な環境を整えることも大切です。刺激の強い音やニオイは禁物。飼い主さんは愛猫としっかりとコミュニケーションをとって、退屈させないようにしましょう。
ストレスは病気や問題行動の原因になることも
猫はストレスや不安を感じると、脳と腸が不調になる悪循環に陥るリスクがあります。また、ストレスは下痢や突発性膀胱炎といった病気の引き金になったり、過剰グルーミングや食欲不振、粗相や攻撃行動などの問題行動を引き起こしたりすることがあり、健康維持にも大きく影響します。
腸内環境の改善やストレス軽減につながる「適度な運動」
適度な運動は腸のぜん動運動を活性化させ、腸内環境の向上にもつながります。
猫の好きな遊びで健康寿命を延ばそう
猫は本能的に獲物を追いかけたり、木に登ったりすることを好むので、じゃらしおもちゃを使った遊びをしたり、上下運動ができる猫タワーやキャットステップを設置したりするのがおすすめです。毎日意識的に遊ばせましょう。
なお、適切な運動は肥満や関節痛の予防、筋肉量や体力の維持につながるので、健康寿命を延ばすことが期待できます。
運動不足は肥満や病気につながる
運動不足は肥満や病気につながることも。また、運動不足は腸の働きを低下させ、便秘になりやすくなります。さらに、エネルギーが発散されないため欲求不満が蓄積し、それがストレスとなって問題行動や病気のリスクを高めることに。ストレスの軽減という意味でも、適度な運動は不可欠です。
病気予防や健康維持に大きく関わってくる腸内環境。愛猫の腸を健康で良好な状態に保つためにも、今回ご紹介した内容を参考に、ふだんの食生活や環境、運動の状況を見直してみましょう。
お話を伺った先生/石川朗先生(練馬テイルズ動物病院院長 獣医師)
参考/「ねこのきもち」2025年12月号『注目の「腸腎連関」「脳腸相関」も解説!猫の予防医学の要は腸だった!』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。