猫と暮らす
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「助けを必要としている猫がこんなにもいる」熊本市動物愛護センターが市民と目指す、人と猫の共生
*記事内容はすべて2026年6月1日現在のものです。
市民の支えを力に、命をつなぐ地域の拠点
たとえば「飼い主のいない猫の不妊去勢手術に関するボランティア」では、器具や捕獲器の洗浄など、手術現場のサポートをしてくれる市民を募集。また、TNR※手術のために捕獲の支援をしてくれるボランティアさんもいるとか。猫のお世話から不妊去勢手術まで、限られた人員でひたむきに仕事と向き合う職員と、それを支える市民の力が多くの猫の命をつないでいます。
※「Trap(捕まえる)」「Neuter(不妊手術する)」「Return(元の場所に戻す)」を行うことで、繁殖を抑え、地域猫としてともに暮らしていくための活動。
現在も殺処分はほとんど行われていませんが、重篤な傷病で回復が見込めないなどのやむを得ないケースは、毎年、数件は発生するそうです。「センターには、瀕死の猫、飼育放棄された猫、多頭飼育崩壊の現場から救出された猫など、過酷な状況を経験したさまざまな猫がやってきます。まずはセンターの現状に目を向けていただいて、助けを必要としている猫がこんなにもいるという現実を、多くの方に知っていただけたらいいなと思っています」
また、猫を新たに迎える際は、センターにいる猫も選択肢に加えてほしい、と藤野さんは話します。「子猫がほしいとおっしゃる方は多いと思いますが、成猫のほうが『おとなしい猫がいい』『先住猫と仲よくできる猫がいい』といった希望に合う猫が見つかるかもしれません。職員は1匹ずつの性格や健康状態を把握していますので、いろいろと質問してみてください」
人と猫が幸せに暮らす仕組みづくりを目指して
「2024年度は、猫の飼養放棄事例の約7割が高齢の飼い主さんからの引き取りでした。入院や施設への入所、死去などの理由で飼育が難しくなる方のほか、多頭飼育崩壊に陥るケースも見られます。でも、それらの問題は高齢者に限らず、年齢を重ねたり、ライフスタイルが変化することで、誰もが直面する可能性はありますよね。だからこそ、これからは困ったときに相談できる環境づくりが必要です」
問題が深刻化してから対応するのではなく、できるだけ早い段階で防ぎたいと話す、藤野さん。今年、高齢者の飼い主さんを対象にしたチラシも作成し、本人はもちろん、親族やケアマネージャーさんなど周囲の人々にも一緒に考えてほしいと呼びかけています。「かわいいから、という一時の感情だけで猫を迎え、病気になった、鳴き声がうるさい、お金がかかるといった理由で手放すケースもあとを絶ちません。15年後、20年後のご自身の生活環境はどうなっているか、もし飼えなくなったときの“第2の飼い主”を決めてあるか、猫を迎える際には“猫の未来まで責任をもつ覚悟”が欠かせませんよね」
センターでは、熊本市動物愛護推進協議会とともに毎年「ねこと人との暮らし方未来会議」(通称:ねこ未来会議)を開催しています。今年2月に行った会議のテーマは、「高齢者と猫との暮らし方」。獣医師や保護団体、トリマーさんやボランティアさんなどが参加するシンポジウムは、多くの人で賑わいました。
取材/野中ゆみ
※この記事で使用している画像は2026年8月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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