近年、猫の行動に関する研究が進み、猫にも人と同じようにさまざまな「気持ち」があることがわかってきました。そこで今回は、猫にもある「嫌な気持ち」や、飼い主さんがつい勘違いしがちな「〇〇な気持ち」をピックアップしてご紹介します。
そもそも猫の行動研究の目的は?
猫の行動を研究する目的のひとつは、「人と猫のよりよい共生」であるといわれています。猫の気持ちを解明していくことで、飼い主さんがより愛猫の気持ちにそった接し方ができるようになり、今よりもっと絆を深めて楽しく暮らすことができるようになるのです。猫の気持ちを知ることは、猫と暮らしていく上でとても大切なことなのですね。
それでは、さっそく今回のテーマについてご紹介していきましょう。
猫にもある「嫌な気持ち」、どんなとき?
不機嫌
体調が悪いときや空腹、かまわれ過ぎたときなど、そのときの状況によって「不快」と感じることもあるようです。その状態はまさに「不機嫌」であるといえるでしょう。
《例えばこんなとき》
・ おもちゃで遊んでいるとき、飼い主さんのじゃらし方に不満でそっぽを向く
イライラ
人と同じように、猫も気に入らないことをされるとイライラすることがあります。そんなときは、興奮して攻撃行動に出ることも。なお、「イライラ」のサインは、しっぽをバンバン叩き付けたり耳を反らせたりといったように、主にしっぽや耳などのパーツに表れます。
《例えばこんなとき》
・ 爪切りなど嫌なことをされたとき、同居猫に猫パンチ
憂鬱
具合が悪いときや、苦手な動物病院へ行くときなどに感じることがあるようです。憂鬱な気分からか、そのような場面でため息をつく猫もいるとか。されて嫌だったことはもちろん覚えていて、猫も憂鬱になるのです。
《例えばこんなとき》
・ 爪切りをしようとすると、じっとして明らかにテンションが下がっている
トラウマに感じる
猫は嫌なことがあったとき、人と同様にショックを受けます。また、嫌なことを繰り返したくないという動物的本能から、ショックが大きかったことほど覚えているでしょう。したがって、「トラウマ」は猫にもあるといえます。
《例えばこんなとき》
・ 動物病院の診察台で仰向けにされて以来、その体勢を嫌がる
しまった!と思う
猫が何かをして飼い主さんから怒られるなど、自分にとって悪いことが起こったときには、猫は「しまった!」と感じます。嫌なことは覚えて避けるように行動するので、何度か繰り返すうちにしなくなることも。
《例えばこんなとき》
・ 猫がテーブルにのったとき、「こらっ!」と怒ると後ずさり
飼い主さんの勘違い? 猫にはない「〇〇な気持ち」
すねる
飼い主さんがかまってあげられないとき、わざと邪魔な場所で寝てしっぽを振っている……なんてことはありませんか?一見するとすねているように見えますが、猫は人の気を引くためにあえて不満な態度をとったり、よそよそしく振る舞ったりすることはありません。邪魔な場所でしっぽを振るのは、飼い主さんにかまってほしいからかもしれませんね。
対抗する
順位付けに関してはさまざまな説がありますが、猫に「対抗する」気持ちはないといわれています。例えば、新しく迎えた猫を攻撃するなどといったことは、対抗意識を持っているのではなく、縄張り意識が強いからでしょう。自分の領域を侵されることを、猫はとにかく嫌がります。
悲しむ
猫は感情に浸ることがないので、「悲しむ」気持ちはありません。例えば、一緒に遊んでいた同居猫が亡くなったあと、飼い主さんの目には元気がないように見えても、それは悲しんでいるのではなく、遊び相手がいなくなって「さびしい」という気持ちなのかもしれませんね。
猫は人と同じように感じる気持ちがある一方で、人ほどのバリエーションは持ち合わせていないようです。猫の気持ちって本当に興味深いものですね。しかし、愛猫の気持ちを一番理解してあげられるのは、きっと飼い主さんに他なりません。ご紹介した猫に「“ある”気持ち」と「“ない”気持ち」も参考に、これからももっと絆を深めていってくださいね♡
参考/「ねこのきもち」2017年5月号『人の感情のようにフクザツかも!?猫にもあるの?この気持ち』(監修:武蔵野大学教育学部講師 齋藤慈子先生)
文/Richa
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。