春は「気候の変化」や「環境の変化」が原因で、猫が大きなストレスを感じやすい季節です。
この、いわゆる春ストレスを放置していると、猫は病気になったりトラブルを起こしやすくなったりしてしまいます。
今回は春ストレスが具体的にどのような病気やトラブルを引き起こすのかをご紹介いたします。
春ストレスが誘発しやすい病気
猫は強いストレスがあると不安感から体や心の緊張状態が続きます。そうすると免疫力が落ちたり、内蔵の働きが悪くなったりと、病気につながることがあります。とくに多いのはオシッコのトラブルである突発性膀胱炎です。
突発性膀胱炎
突発性膀胱炎とは原因が特定できない膀胱炎のことですが、あらゆるストレスが原因だと考えられています。症状は、頻繁にトイレに行くのにオシッコの量が極端に少ない、血尿が出る、粗相をするなど。
猫カゼ
おもに猫ウイルス性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症のこと。これらのウイルスに感染すると、体内にウイルスが潜伏。猫がストレスを感じて免疫力が低下すると再発することも。症状は鼻水やくしゃみなど、人の風邪と似ています。
胃腸障害
ストレスを感じると交感神経が活発に働き、猫の体は緊張した状態になります。その影響から胃腸の働きが悪くなり、食欲不振や嘔吐、下痢や便秘になる猫が。また、多くはありませんが、免疫系に異常が起きて胃腸炎が起きることも。
皮膚炎
猫に外部寄生虫が付き、悪化して皮膚炎になる猫も。春はとくにノミに刺されたときの刺激が原因となるノミ刺咬症や、体質によってはノミの唾液に反応してノミアレルギー性皮膚炎を起こす猫もいます。
心因性脱毛
慢性的なストレスを感じると、猫は気持ちを落ち着かせようと、体の一部をなめ続けることが。心因性脱毛症とは、なめ続けた結果、体の一部が脱毛する症状のこと。おもに脱毛が見られるのは、前足や後ろ足など口の届きやすい場所です。
春ストレスが誘発しやすいトラブル
春は日照時間が長くなることでノラ猫の発情が誘発され、室内で暮らす猫も落ち着かない傾向に。また、環境に変化があると、強い不安から精神のバランスを崩しがち。このようなストレスが原因でトラブルにつながるケースも。
脱走
春は、猫によっては外に出られないことにストレスを感じたり、ソワソワと落ち着かなくなることも。そのため、春に脱走する可能性はほかの季節よりかなり高くなるので、飼い主さんは注意が必要です。ちなみに脱走してしまうと以下のようなことが起きる可能性があります。
- 家に帰れなくなり行方不明に
- 車道に飛び出して交通事故に
- ノラ猫とケンカしてケガ
- ノラ猫と接触して猫エイズなどに感染
尿マーキング
強いストレスを感じると、安心感を得るためにオシッコでニオイ付け(尿マーキング)をする猫がいます。体勢はおしりを上げてスプレーのようにする猫と、排尿時のように座ってする猫も。
不安行動やうつ状態
慢性的な強いストレスがあると、猫も人でいうところの“不安症”や“うつ”のような状態になることが。その場合じっと部屋の隅にうずくまったり、いつもとは違う様子で鳴き続けたり、不眠になることも。
人への攻撃
ストレスで興奮しているときに、人が体に触れたりすると、猫は攻撃されたと勘違いして突発的に人を攻撃することがあります。また、身を隠しているとき日に人に引っ張り出されると共振とストレスから攻撃に転じてしまう猫も。
猫は変化することがとくに苦手な生き物。そのため、飼い主さんがあらかじめストレスの原因を理解して取り除いてあげることで、上記のような病気やトラブルはグッと避けやすくなります。愛猫の健康のためにも、早めの春ストレス対策ができるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年3月号『春ストレスに気を付けて』(監修:獣医師、獣医行動診療科認定医。ペット行動カウンセラー 藤井仁美先生)
文/浪坂 一
イラスト/キムラみのる
画像/iStock、Getty Images Plus、ゲッティイメージズ
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※この記事で使用している画像の一部は2018年3月号「春ストレスに気を付けて」に掲載されているものです。