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人の「心の病気」、猫にもあるの?

ふだん耳にする人の「心の病気」の多くはストレスによるもの。近年、猫も家族の一員として人と近い距離感で暮らすようになり、さまざまなストレスを感じるようになってきています。

猫も人と同じ「心の病気」になることはあるのでしょうか? 動物の行動心療を行っている獣医師の菊池先生に聞いてみました。

うつ病

人ではこんな病気

イラスト/mollydomon
憂鬱な気分が毎日のように続く精神的な病気。「うつ病」になると、喜びや好奇心などを感じられなくなり、倦怠感や食欲不振などの症状が表れます。最悪の場合、自ら命を絶つことも。

猫では?

あるかどうかはわかりません
「うつ病」は、じつは、人でもまだきちんとした定義がなされていないそうです。また、猫に感情を尋ねてみることができないため、あるかどうかわからない、というのが正直なところ。現状においては、猫に「ある」と明言することは難しそうです。

五月病

人ではこんな病気

4月に新年度を迎え、入学や就職などで新しくなった環境に適応できないままでいると、5月のGW明けくらいから「うつ病」に似た症状が出はじめることがあります。

猫では?

猫にはないでしょう
猫の場合、新たなスタートを切る飼い主さんの影響を受けたり、それに伴い環境が変わったりしたときに心のバランスを崩すことはあるかもしれません。ですが、人のようなうつ状態にまでは陥ることはないでしょう。ですから、「五月病」はないと考えられます。

パニック障害

人ではこんな病気

突然、動機や発汗、呼吸困難、吐き気といった発作を起こす状態。このパニック発作は自分ではコントロールできないため、また起きたらどうしようと不安に苛まれることも。

猫では?

パニック状態になることはあるけれど…
何かに刺激され、興奮状態からそばにいる人や猫を噛んだり引っかいたりする「転嫁性攻撃行動」は、パニック状態に近く、比較的似ているといえるかもしれません。ただ、人の「パニック障害」の定義に当てはまるかというと、難しいでしょう。
イラスト/mollydomon

不眠症

人ではこんな病気

不安などから寝付けない、いったん寝てもしばしば目が覚める、起床時、ぐっすり眠った感じがない、いつもよりかなり早く目が覚める。……などの様子がしばしば見られ、続く病気。

猫では?

似た症状はあるかもしれないけれど・・・
近所で大きな工事をしていたり、知らない人の話し声が聞こえてきたりすると、物理的に継続して眠れないということは猫にもあるでしょう。ただし、猫と人の睡眠時間や状態はそもそも異なるので、似た症状でも「不眠症」とはいえないかもしれません。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

イラスト/mollydomon

人ではこんな病気

災害や事故、性的虐待など、死を意識する危険な目に遭ったことがある場合、トラウマ体験が蘇ったり、感情の麻痺や記憶の喪失、はたまた、精神的な過敏症状などが起こったりします。

猫では?

あると考えていいかもしれません
たとえば体罰や地震など、猫にもトラウマ的な体験はあります。過去のトラウマ体験が蘇ったり、その体験を思い出す場所を避けたり、警戒心が異様に強くなり背後の物音にも過敏に反応したりすることはあるので、「PTSD」は「ある」と考えられるでしょう。

人と猫の「心の病気」は厳密には異なるよう。しかし、人と同じ病気にはならなくても、猫が「心の病気」にかからないわけではありません。ストレスのない環境を整えて猫のメンタルに負担がかからないようにしたいですね。


参考/「ねこのきもち」2019年5月号『その困った行動、ストレスからくる心の病気かも』
(監修:東京大学附属動物医療センター行動診療科 菊池亜都子先生)
文/浪坂一
イラスト/mollydomon
※この記事で使用している画像は2019年5月号『その困った行動、ストレスからくる心の病気かも』に掲載されているものです。
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