日々の生活の中で猫はたくさんの愛を伝えてくれています。その愛を見落とさず、しっかり応えると愛が深まるはず!
猫の行動学にくわしい獣医師の菊池亜都子先生に、愛情をストレートにアピールしてくる甘えん坊な猫とのコミュニケーション方法をうかがいました。
猫が体の上にのってきたら…
甘えん坊とはいえ警戒心が強い猫が自ら人の上にのってくることは、安心感と強い愛情の表れです。「密着したい」「独占したい」「かまってほしい」という気持ちでしょう。
飼い主さんは、猫が喜ぶところをなでてあげて
猫が自分で毛づくろいできない顔周り、とくにあごや頬、おでこは気持ちいいスポット。なでていて猫がゴロゴロとのどを鳴らし始めたら、子猫気分の証。母猫になったつもりで続けてあげて。
猫が手をなめてきたら…
猫同士がなめ合うことを「アローグルーミング」といい、仲のよい猫同士にしか見られない親愛の情を示す行動とされています。猫が人をなめることもこれと同様で信頼と愛情の表現といえます。
飼い主さんは、なめられたところでなで返してあげて
猫のように“お返し”としてなめることはできないので、付いた唾液を付け返すようにして、毛並みに沿うようになで返して。“疑似アローグルーミング”ができます。
猫が帰宅時玄関まで出迎えてくれたら…
玄関のドアを開けると、猫が走り寄ってきたり待っていたりするのは、飼い主さんの帰りを
心待ちにしていた証拠。ゴハンなどの要求もありますが、再会を喜んでいるといえます。
飼い主さんは、少し時間をおいてから相手をしてあげて
甘えん坊タイプのお出迎えは激しくなりがち。落ち着いた口調で「待っててね」と言い、少し時間をおいてから相手を。依存猫にさせないことも“愛”です。
猫が体にスリスリしてきたら…
猫はニオイでマーキングをしたがりますが、飼い主さんにすり寄るのは自分のニオイを付けて、「自分のもの♡」と安心したいから。おねだりの場合もありますが、愛情表現です。
飼い主さんは、ほかの部位もスリスリさせてあげて
自分のニオイを付けられるほど猫は喜びます。足にスリスリしてきたら手などにもさせてあげて。ニオイが出る「臭腺」が密集する顔周りに体を近付けてあげると◎。
人への信頼感が強く、甘え上手で愛情表現がストレートな「甘えん坊タイプ」の猫。愛情を直球でアピールしてくるので、その思いに応えやすいはず。何をしてあげると喜ぶのかを知って、よりよい関係を深められるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2019年6月号『猫と私のLoveコミュニケーション』(監修:東京大学附属動物医療センター行動診療科 獣医師 菊池亜都子先生)
文/浪坂一
撮影/尾﨑たまき、Akimasa Harada
※この記事で使用している画像は2019年6月号『猫と私のLoveコミュニケーション』に掲載されているものです。