猫から人への愛情表現は性格タイプによって違います。今回は、警戒心が強めで人に甘えるのが得意ではない猫とのコミュニケーション術をご紹介。不器用なりに飼い主さんへ愛情を伝えようとしているので、飼い主さんはその愛を見落とさないで!
飼い主さんがじっとしているときそばに寄ってきたら…
人が本やテレビを見ているときなど、動かない隙にそっと近寄ってくることが。好きな人のそばにいたいという思いで様子を見にきていることが大半です。
飼い主さんは、くつろげる“猫スペース”を空けてあげて
寄ってきていることに気付かない振りをして、猫がそばにいられるスペースを空けて。ソファに座っているときであれば背中側を空ければ狭い場所が好きな猫は居心地がいいはず。
気付く距離で見つめながらじっとしていたら…
好きな人にかまってほしいときのアピールのひとつ。甘えん坊タイプなら仰向けで転がったりなどわかりやすいですが、警戒心が強めな猫は見つめながらじっとしている程度です。
飼い主さんは、指先のニオイを嗅がせてから手の甲側でなでてあげて
人が気付いて近寄ろうとすると逃げがちです。警戒心の強い猫は、まずニオイで情報を得て安心する習性があるので、指を差し出してニオイを嗅がせてから触れて。手の平より甲側でなでると摩擦が少なくなり、おすすめです。
手にスポンジを滑らすくらいのタッチでなでると◎
控えめタイプはとくに激しく触られることが苦手。手にスポンジを軽く滑らせるくらいのソフトさがいいので実際に試して感覚をつかんでみて。
帰宅したとき壁などにスリスリしていたら…
猫はうれしくて興奮すると、周囲を自分のニオイで満たして気持ちを落ち着かせようとします。人の足にスリスリしなくても、壁などにしたら帰宅をうれしがっている証拠です。
飼い主さんは、小さな声で「ただいま」と言って微笑んであげて
控えめながらもうれしい気持ちをアピールしているので気付いてあげて。驚かさないように小さな声で「ただいま」と言って微笑めば、「気付いてくれた♡」と満たされます。
猫が、距離を保ったまま人に向かって鳴いたら…
控えめなタイプは、人に近付かずに離れた場所から高めの声で鳴くことが。これは、「ここにいるよ」と好きな人に気付いてほしくて、鳴いてアピールしているのです。
飼い主さんは、距離を縮めず、小さな声で優しく声をかけてあげて
猫は「気付いてくれるだけで充分」という気持ちです。それに逆らわず、距離は保ったまま猫の方に向いて「なーに?」と応える程度がいいでしょう。
猫が、離れたところから目を細めてこちらを見つめていたら…
猫はまどろむとき、目を細めてうっとりした顔になるもの。遠くにいたとしてもこの表情でこちらを見つめているなら、見ているだけで幸せな気分になっているということです。
飼い主さんは、目を細めたり、ゆっくりまばたきをしてあげて
猫にとって凝視は敵意を表し、逆に視線を切るまばたきは親愛を表します。ですから、猫と同じように目を細めて、まばたきをゆっくりしてあげると猫は安心するでしょう。
愛情を内に秘めてさりげなくアピールしてくる「警戒心が強め」な猫は、愛情表現がわかりにくいかもしれません。甘えたい雰囲気を愛猫から感じとって、猫のタイプに合った方法でそのアピールに応えてあげたいですね。
参考/「ねこのきもち」2019年6月号『猫と私のLoveコミュニケーション』(監修:東京大学附属動物医療センター行動診療科 獣医師 菊池亜都子先生)
文/浪坂一
撮影/尾﨑たまき、Akimasa Harada、Riepoyonn
※この記事で使用している画像は2019年6月号『猫と私のLoveコミュニケーション』に掲載されているものです。