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重症化すると命の危険も…甘く見ると怖い「猫カゼ」とは?

だんだんと寒くなってくるこの時期、体調を崩している飼い主さんもいるのではないでしょうか? しかし、体調を崩しやすいのは人だけではありません。猫も、とくに冬は「猫カゼ」に注意しなければならないようです。

「猫カゼ」ってどんな病気?

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
「猫カゼ」は、症状が人の風邪に似ていることから用いられる通称で、ウイルスや細菌の感染を原因とする上部気道感染症のこと。

原因のウイルスや細菌によって正式な病名が異なり、「猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)」「猫カリシウイルス感染症」「猫クラミジア感染症」の3つが代表的。前者2つは、一度感染すると猫の体内にウイルスが潜伏し続けるため、再発を繰り返します。

猫カゼが冬にかかりやすいワケ

まったりするノルウェージアンフォレストキャット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫カゼの原因であるウイルスや細菌は、温度や湿度が低くなると活発になり、数日〜1週間生き続ける強い感染力をもっています。

そのうえ、猫も人と同様に、寒さで体が冷えると免疫力が低下するので感染しやすくなります。また、すでにウイルスや細菌が潜伏している場合は、活発に増殖して再発しやすくなります。

猫カゼにかかったときに見られる症状

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
イラスト/大塚砂織
感染後、発症すると、人の風邪と同様にくしゃみ鼻水などの症状が現れます。また、涙・目ヤニなど、目に症状が出やすいのも特徴的。進行すると熱が出たり、口内炎ができたり、食欲がなくなったりすることもあります。

次で、項目別にくわしく見ていきます。

熱が出る

猫の平熱は人よりも高い38℃台ですが、39℃以上、ときには40℃前後の高熱が出ることもあります。

くしゃみが出る

人と同じようなくしゃみをし、段々と頻度も程度もひどくなっていきます。

涙・目ヤニが出る


①「猫クラミジア感染症」の疑いがある猫(写真提供/ノヤ動物病院)

②ほかの猫カゼにかかっている猫(写真提供/ノヤ動物病院)
上記写真①のように片目だけであれば、猫クラミジア感染症の疑いが。ほかの猫カゼは、上記写真②にように両目から涙が流れ、固まってしまうことも。

鼻水が出る


写真提供/ノヤ動物病院
初期は水のような透明の鼻水で、症状が進むと黄(緑)色の粘り気のある鼻水に。写真のように流れ出たまま固まってしまうことも…。

口内炎ができる


写真提供/ノヤ動物病院
猫カリシウイルス感染症の場合、口内炎がひどくなり、ヨダレが出ることもあります。写真の猫は、口内炎のほか、舌に腫瘍もできています。

食欲がない

鼻づまりによる嗅覚不能や倦怠感、口内炎などの影響で食欲不振になりがちです。

猫カゼの治療法

お昼寝するスコティッシュフォールド
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫カゼの原因となる細菌やウイルスに特効薬はなく、出ている症状を抑える対症療法をします。感染が疑われる場合は、抗生剤を投与するほか、ウイルスの増殖を防ぎ、猫の免疫力をサポートするインターフェロンを投与することもあります。

熱があるなら解熱剤、目の症状なら目薬、鼻の症状なら点鼻薬を処方することも。

自宅で行いたいケア

①高栄養食を与える

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
イラスト/大塚砂織
免疫力を高めるためには、栄養価の高い食事が必要に。総合栄養食でカロリーが高めのウエットフードやおやつを与えてもいいでしょう。

②室温を一定にする

時間や場所によって室温に差があると、さらに免疫力が下がって悪化の原因になります。二次感染を防ぐためにも、エアコンで24〜26℃を目安に室温を一定にしましょう。

③涙・目ヤニ、鼻水をこまめに拭く

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
イラスト/大塚砂織
涙で目の周辺がただれたり、目ヤニで目が塞がったり、鼻水が固まって呼吸が苦しくなったりしがちです。ぬるま湯で湿らせたガーゼなどで拭き取ってあげましょう。

予防・再発防止のためにできること

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
イラスト/大塚砂織
猫カゼは、定期的なワクチン接種で予防や軽症化することができます。獣医師と相談のもと接種しましょう。

ワクチン接種のタイミング

●6〜8週齢で1回
→母猫の初乳を飲んでいない子猫は6週齢、飲んでいる子猫は8週齢で、1回目のワクチンを接種することが理想。

●9〜16週齢で2〜4回
→1回目の接種から、3〜4週間間隔で接種します。子猫での最終接種を12〜16週齢以降にしましょう。

●その後は定期的に
→以降の接種頻度は、獣医師の見解によってさまざまですが、1〜3年に一度が一般的。指示に従い、定期的に接種します。


※ワクチン接種歴のわからない16週齢を超える子猫や1才以上の成猫への初接種のタイミングも、獣医師によって推奨がさまざま。指示に従い接種するようにしましょう。

ほかの猫との接触を避けよう

また、猫カゼの細菌やウイルスは、感染猫の鼻水や涙、唾液、排泄物などに含まれています。完全な室内飼いを徹底し、飼い主さんは愛猫以外の猫に触れたら、手洗いや着替えをしましょう。

猫カゼを甘く見ないで! こじらせると気管支炎や肺炎で命を落とすことも…

猫カゼをこじらせた猫
イラスト/大塚砂織
「カゼ」と聞くと生死にかかわることはないと思うかもしれませんが、猫カゼをこじらせると「気管支炎」「肺炎」になって命を落とすこともあります。

気管支炎

気管支に炎症を起こす「気管支炎」。軽度のときは「ケホッ」といった軽い咳ですが、重度になるとまるで吐くような咳に。

肺炎

肺炎の場合は咳はほとんど出ず、呼吸が荒くなります。

いずれも重症化して呼吸困難になると命を落とすことに。とくに子猫は免疫力が低く、衰弱しやすいので注意が必要です。

全身感染する致死率67%以上のウイルスも

近年、「猫カリシウイルス感染症」のなかでも、病原性が強く全身感染を引き起こす「強毒全身性猫カリシウイルス」の発症報告が増えています。日本ではまだ稀ですが、欧米では報告が多数あるそう。

これは免疫力が比較的高いとされる成猫が発症しやすく、67%以上の高致死率という恐ろしさで話題になりました。皮下浮腫、頭部や下肢の潰瘍、黄疸などの症状があり、多臓器不全により重篤化します。

猫カゼ対策! 冬を健康に過ごすための部屋づくり

猫カゼにならないためには、部屋を冬仕様の住環境に整えてあげることが大切に。冬を健康に過ごすための部屋づくりのアイデアを、いくつかご紹介します。

空気が乾燥しないように加湿 濡れタオルを干しておこう!

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
まずは、空気が乾燥しないように加湿しましょう。乾燥で活性化する猫カゼなどのウイルスを考えると、湿度は50〜60%が理想ですが、猫の居場所のそばを加湿するだけでも効果があります。原始的ですが、濡れタオル干しはおすすめです。

あったかシェルターを用意しよう!

猫が「寒い」と思ったら逃げ込めるような、あったかシェルターを用意してあげることも大切です。

・毛布を筒状にして置く

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
毛布を丸めてトンネルのようにして置いておけば、潜るのが大好きな猫は嬉しいはずです。日が当たる場所に置いておくと、干した毛布のようになって、さらにポカポカします。

・ランドリーバスケットなどを倒して置く

冬に注意したい病気「猫カゼ」とは
ランドリーバスケットなど、深さがある容器を倒して置き、中に暖かい布をインするだけでできます。仲のよい同居猫がいる場合は、大きめにすると一緒に入れて、さらにぬくぬくになるはずです。

・段ボールハウスを置く

保温性のある段ボール素材で四方が囲まれた空間は、熱のこもりやすさが抜群です。暖かい布をかけたり、中に入れればさらにいいでしょう。暖かい空気がたまる高い場所に置いても◎

これらはどれも自宅にあるものでできますし、電気を使わないのでお留守番のときでも安心です。


猫カゼは一般的に知られた病気ではありますが、重症化してしまうと命にかかわることもあると覚えておきたいですね。愛猫が元気に冬を過ごせるように、飼い主さんはぜひ対策をしてみてください。

参考/「ねこのきもち」2019年1月号『かかりやすく重症化しやすいから…冬こそ注意 猫カゼと尿石症』
(監修:埼玉県日高市のノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
※一部の写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
イラスト/大塚砂織
症例写真提供/ノヤ動物病院
文/雨宮カイ
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