愛猫が健康で快適に暮らせるように、日々のお世話を一生懸命行っている飼い主さんは多いでしょう。そんな飼い主さんたちに質問ですが、下記のようなお世話…やっていないですよね?
□ウンチのあと、お尻を拭く
□鼻水をティッシュで拭く
□食事・排泄の様子をジッと見る
もし、これらのお世話をしているようであれば、あなたは大切な愛猫に「世話ハラ(お世話・ハラスメント)」をしていることになるかも…!
「ハラスメント」とは?
ハラスメントという言葉は、最近耳にすることが多くなりましたが、「嫌がらせ」「身体的・精神的苦痛を与えること」などの意味で用いられます。
冒頭で挙げた猫のお世話は一見問題がないようにも思えますが、じつはやりすぎなお世話なのだそう。そこでこの記事では、飼い主さんが愛猫にやりがちな世話ハラ6つについて紹介します。みなさんも愛猫に世話ハラをしていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
【世話ハラ①】綿棒で耳の奥のほうまで掃除をする
猫自身がお手入れできない耳の中の汚れは、つい取りたくなってしまいますよね。しかし、綿棒で奥のほうまで掃除しようとすると、耳の中を傷つけ外耳炎などの原因になることも…。
自宅で耳掃除をする場合は?
自宅での耳掃除は、湿らせたコットンなどを指に巻いて拭う程度に留めましょう。もし汚れがひどい場合は、動物病院を受診して!
【世話ハラ②】ウンチのあと、お尻を拭く/鼻水をティッシュで拭く
通常、猫のお尻や鼻水は、猫自身でなめてきれいにします。肛門周囲や鼻はとてもデリケートなので、猫はゴシゴシ拭かれるのを嫌がるはず。よほど必要がない限り、触れないようにしましょう。
長毛の猫で、お尻が汚れやすい場合は?
長毛の猫でお尻の汚れが気になるなら、肛門周りの毛をカットしてあげましょう。また、鼻水がひどい場合は、動物病院で相談をしてみて!
【世話ハラ③】食事・排泄の様子をジッと見る
猫の健康状態を把握するうえで、食事・排泄の様子をよく観察することは大切。しかし、警戒心の強い猫の場合、最も無防備といえる食事・排泄時の様子をジッと見られると、落ち着かない気分になり、ストレスを感じてしまうことも…。
食事・排泄の様子を観察したい場合は?
食事・排泄の様子を観察したい場合、近くでジッと見るのは避け、遠くからさりげなく見るようにしてください。また、音で所要時間を確認し、終わったあとの状況を見て、いつも通りかを確認するといいでしょう。
【世話ハラ④】猫が嫌がっているのにブラッシング・爪切り・歯磨きなどを続ける
ブラッシング・爪切り・歯磨きなどの必要なお世話は、なるべく猫に「嫌だ!」と思わせないことが重要です。嫌がっているのに続けていると猫はさらに嫌がるようになり、お世話が困難に…。
ブラッシング・爪切り・歯磨きをする場合は?
まずは、ブラッシングなら1回なでて終わり、爪切りなら1本切って終わりなど、猫が「嫌だ!」と感じる前に終えることを毎日繰り返して、少しずつ慣れさせてみて!
「終わったらイイコト」を習慣にして、プラスマイナスゼロに♪
たとえば、爪を1本切り終えたすぐあとに、愛猫が大好きなおやつを1つ与えてみましょう。それを習慣にすると、嫌なことが嬉しいことで相殺されて、猫の印象はプラスマイナスゼロに♪
そのうち、「爪切り=おやつ」と印象づけられて、爪切りを嫌がることが少なくなるはず。
【世話ハラ⑤】動物病院に連れていくために、逃げる猫を捕まえてキャリーケースに入れる
猫が逃げる理由は、「キャリーケース=動物病院に行く(嫌なこと)」と記憶しているから。
また、猫が逃げるからといって追い詰めて捕まえ、無理に入れることを続けていると、猫は嫌な思いをしたぶん、もっとキャリーケースが嫌いになってしまいます。逆効果なので、やめましょう。
キャリーケースは日頃から出しっぱなしにして、よい印象に
キャリーケースは動物病院に行くときだけ持ち出すのではなく、ふだんから部屋の隅などに扉を開けて置いて、ハウス代わりにしてみて!
大好きな毛布を敷き、好きなおやつを入れてあげて、キャリーケースに対してよい印象をもたせてあげましょう。また、ときどき扉を閉めて持ち運び、移動に慣れさせましょう。
【世話ハラ⑥】爪や指先で目ヤニ、鼻くそ、あごニキビなどを取る
猫の顔周りの汚れが目につくと、つい爪や指先で取りたくなりますが、それはNG! 無理に汚れを取ろうとしたり、不意に猫が動いたりして皮膚や粘膜を傷つけ、炎症の原因になることも…。
顔周りの汚れが気になる場合は?
猫の顔周りの汚れが気になる場合は、お湯で湿らせたコットンを優しく当てて、汚れをふやかし、サッと拭ってあげて!
よかれと思ってやっているお世話でも、やり過ぎてしまうと世話ハラになってしまい、愛猫を苦しめることにもなってしまいます。この記事で紹介した6つの世話ハラに当てはまる行動をしていないか、飼い主さんは今一度チェックし、お世話の仕方を見直してみてくださいね!
参考/「ねこのきもち」2019年4月号『飼い主さんがよかれと思っていても それ、猫ハラスメントです』
(監修:帝京科学大学助教、動物看護師 小野寺温先生)
※一部の写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
イラスト/山村真代
文/雨宮カイ