もし飼い主さんが妊娠予定であったり、現在妊娠中である場合は、猫を飼育するうえで気をつけたいことがあります。とくに、ある感染症には注意が必要なのだそう。ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
妊娠中の飼い主さんが気をつけたいトキソプラズマ感染症
猫を飼っていて、妊娠中の人が注意したいことでよく聞くのは「トキソプラズマ感染症」でしょうか。国立感染症研究所のホームページには、下記のように書かれています。
このように、十分な注意が必要な感染症であることは間違いありません。
猫の飼い主さんがトキソプラズマ感染症に注意したいワケ
猫の飼い主さんがトキソプラズマ感染症に注意が必要な理由は、猫が感染する恐れがあるためです。猫がトキソプラズマに感染する原因は、トキソプラズマに感染している動物の生肉を食べたとき。野ネズミを食べたときに感染するケースもあります。
猫→人への感染源は?
猫から人への感染源は、感染猫の糞便です。ただし、猫が初めてトキソプラズマに感染した場合にのみ人にも感染する恐れがあることも、この感染症の重要なポイントに。すでにトキソプラズマに感染している猫の糞便からは、人にトキソプラズマが感染することはないと考えられています。
このため、妊娠する可能性がある場合や妊娠中は、愛猫が外に出ないようにすることや、生肉を与えないようにすることで、トキソプラズマの感染を防ぐことが必要です。
妊娠中の飼い主さんが心がけたい4つのこと
妊娠中の飼い主さんが気をつけたいのは、トキソプラズマ感染症のほかにもいくつかあります。日頃から下記のようなことを意識しておくことが大切です。
①猫のトイレをキレイに保つ
感染症の多くは糞便が原因となるので、日頃から愛猫のトイレを清潔に保つことが重要です。
②猫が外に出ると寄生虫やノミ・ダニを家に持ち込むこともあるので、外に出さない
猫が外に出ることは、回虫や条虫などの人にもうつることのある寄生虫に感染する恐れや、ノミやダニなどを家の中に持ち込んでしまうことも。衛生面でもよくありません。
③噛みつき・ひっかきの怪我に注意
妊娠中は、使える薬に制限が出ることがあります。愛猫との触れ合いのなかで、噛みつきやひっかきなどの怪我を負わないように気を付けましょう。
④もしものときのために預かり先やシッターを考えておく
急な入院などに備えて、預かり先やペットシッターの確保も重要でしょう。自分がお世話ができなくなった場合の協力先をあらかじめ見つけておくと、いざとなったときにも安心です。
また、自分以外の人にもスムーズにお世話してもらえるよう、食べ慣れているフードやトイレの素材など、メモにするなどしてわかりやすく周知しておくのもいいかもしれません。
妊娠中の飼い主さんと愛猫が快適に過ごせるように
妊娠中の飼い主さんだけに限った話ではないのですが、妊娠中でも愛猫と快適に過ごせるようにするには、以下のことを心がけるようにしてみてください。
- 室内飼いの徹底
- ノミ・ダニなどの外部寄生虫や回虫などの内部寄生虫の予防
- トイレを清潔に保つなどの衛生管理
また、噛みつき・ひっかきなどの攻撃行動が出ないよう、愛猫が穏やかに過ごせるよう心がけてあげましょう。万が一そういった行動が出てしまった場合は、専門家に相談するなど早めの対策が必要です。
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/Honoka