猫の体や行動は、年齢とともに変化します。とくに、1〜6才の「成猫期」は、猫の本能が強まって猫らしい行動が増える時期。隙をついて脱走するなどのトラブル起こりがちになるのです!
この記事では、成猫期に起こりがちなトラブルを「ねこのきもち」読者から寄せられた実際のエピソードとともにご紹介。トラブルの対策法などについても解説します!
【1才頃の事件】一度玄関から脱走して以来、何度も繰り返すように…
まずは、なるせくん(♂・3才/ジャパニーズボブテイル)の飼い主Cさん(神奈川県)から寄せられたエピソード。なるせくんは1才の頃、一度玄関から脱走してしまい、それ以来何度も繰り返すようになってしまったのだそうです。
解説:1才頃は性成熟を迎えて、外に出たい欲求が高まる猫も
1才頃になって性成熟を迎えると、とくにオスは本能的にメスを求めて、外への興味が高まり、脱走を試みようとすることがあります。さらに、一度でも外に出ると縄張りが広がったように思い、脱走を繰り返す猫も。
ノラ猫と縄張り争いをしてケガをしたり、交通事故に遭ったりする猫も少なくないのです。
対策:脱走を防ぐための2つの工夫
このようなトラブルを防ぐためには、以下の2つのポイントをおさえておきましょう。
①窓辺の脱走対策も徹底しよう!
脱走対策は玄関だけでなく、脱走経路になりやすい窓辺の対策も徹底してください。網戸にする場合は、猫に開けられないようにストッパーを取りつけたり、網戸のネットを頑丈なものに張り替えるように工夫をしましょう。
②玄関先まで猫がついてくるなら気をそらそう!
脱走を狙っている猫は、隙あらば飼い主さんの外出を狙い、玄関まで執拗についてきがちです。そんなときは、ボールなどを投げて気をそらすようにしましょう。玄関に常備しておくのがおすすめです◎
【1才頃からの事件】洗濯機の後ろに隠れて、なかなか出てこなくなってしまった
続いて、そらちゃん(♀・1才)の飼い主Oさん(神奈川県)から寄せられたエピソード。そらちゃんは1才頃から、洗濯機の後ろに隠れてなかなか出てこなくなってしまったのだそうです。
解説:1才頃になると警戒心が強くなり、隠れて過ごす日が増える猫も
野生の猫は1才頃になると、母猫やきょうだい猫と離れて単独で行動するようになり、自分の身は自分で守るようになります。それに伴い警戒心が強くなるので、隠れるようになることがあります。
フードを食べるなど元気そうな様子であれば、「大人になった証」と考えていいでしょう。
対策:安全な隠れ場所を数カ所用意しよう!
人の手が絶対に届かない危険な場所に猫が隠れるのは、やめさせたいものですよね。
対策として、出入り口があって四方が囲まれている「猫ベッド」や「ダンボールハウス」などを部屋の隅などに数個置き、安全な隠れ場所を用意してあげるといいでしょう。猫が避難場所として使ってくれると思います。
【1才頃の事件】引き出し式の棚を開けて、中のゴムを取り出して誤食してしまった
続いて、こたろーくん(♂・1才)の飼い主Mさん(広島県)から寄せられたエピソード。こたろーくんは1才頃のとき、引き出し式の棚を開けて、中のゴムを取り出して誤食してしまったのだそうです。
解説:1才頃は知能や力がつき、棚を開けられるようになることも
猫は1才頃になると、知能や力が急激に発達して、今までできなかったことが突然できるようになることがあります。
飼い主さんが「引き出し式だから開けられないはず」と思っていた棚なども自分で開けられるようになり、中に入っているものを誤食するなどの事故につながるケースも。
対策:猫には開けられない工夫をしよう!
猫が引き出し式の棚を開けられないように、幼児用のイタズラ防止ストッパーを取りつけるなどしましょう。あるいは、誤食しそうなものは、猫が開けることができない蓋を開閉するタイプの瓶などに入れておくようにするといいでしょう。
【2才頃からの事件】突然、気が狂ったかのように走り回るようになった
続いてのエピソードは、べんちゃん(♀・3才)の飼い主Mさん(三重県)から寄せられたもの。べんちゃんは2才頃から、突然、気が狂ったかのように走り回るようになったのだそうです!
解説:1才〜5才頃は野生の本能が強まり、活動量も増えがちに
成猫期になると、狩猟本能による行動が増えます。そのため、本来狩りをする時間帯である明け方と夕方に、獲物を追いかけるかのように突然走り回ることが増えがちに。また体力も増す時期なので、あり余るエネルギーを発散させるために走り回ることも増えるでしょう。
稀に体の痛みや神経の異常で走り回ることもあるので、「おかしいな」と思ったら獣医師に相談するようにしましょう。
対策:運動量の多い遊び方でエネルギーを発散させよう!
猫と遊ぶ時間を充分にとってエネルギーを消費させれば、自ずと走り回ることも少なくなるでしょう。
遊びの工夫として、じゃらしおもちゃを高いところで振って後ろ足で立たせたり、上下運動をさせたりと、できるだけ猫の運動量が多くなるような遊び方をしてみてください。
【2才頃の事件】あごニキビができて放置していたら、炎症を起こして毛が薄くなってしまった
最後に紹介するのは、ココくん(♂・2才/ラグドール)の飼い主Kさん(東京都)から寄せられたエピソード。ココくんが2才頃のことですが、あごニキビができて放置していたら、炎症を起こして毛が薄くなってしまったのだそうです。
解説:成猫期は、あごに黒い分泌物が見られる傾向が
成猫期になると、はっきりとした原因はわかりませんが、猫のあごに黒いブツブツ状の分泌物「あごニキビ」がよく見られるように。
通常は治療の必要はありませんが、細菌感染すると炎症などが起きて治療が必要になります。もし炎症が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
対策:ぬるま湯に浸したガーゼで拭き取って清潔にしよう!
猫のあごに黒いブツブツが見られたら、自宅でケアをしましょう。人差し指にガーゼを巻いて38℃程度のぬるま湯に浸し、患部をやさしく拭き取ってあげてください。
ゴシゴシとこすってしまうと炎症を起こす原因にもなるので、力加減に気をつけてくださいね!
猫の年齢によってどんなトラブルが起こりがちで、どんな対策をしておけばいいのか知っておくことはとても大切です。猫を飼っているみなさんは、ぜひ今回の体験談を参考にしてみてくださいね♪
参考/「ねこのきもち」2020年2月号『読者が実際に体験した、年齢別に起こりやすいトラブルや病気がわかる! うちのコ、○才事件簿』
(監修:東京都港区にある小動物診療所獣医師 徳留史子先生)
イラスト/山村真代
文/雨宮カイ