猫の困った行動に手を焼いてしまっている…という飼い主さんもいるかもしれませんが、じつはその原因は飼い主さんにある場合も!?
ドキッとしますね…
飼い主さんが対応を誤ってしまうと、愛猫が困った行動を繰り返したり、関係性が悪化する恐れもあるのです。飼い主さんが正しい対応ができているか…クイズで確認してみてください!
Q1.してはいけない場所で猫が爪とぎ…やめさせるにはどうすればいい?
1.爪とぎをするたびに引き離して、「ダメ!」と言って叱る
2.爪をとぐ場所の近くに爪とぎ器を置く
3.爪をとぐ場所をカバーで覆う
正解は…「2」 爪をとぐ場所の近くに爪とぎ器を置こう!
爪とぎ器は、猫の好む素材やタイプのものを用意しよう♪
猫が爪をとぐのは、自分の縄張りにニオイをつけるマーキング行為です。爪をとがれたくない場所に爪とぎ器を置くことで、猫の欲求を満たしてあげましょう。マーキングしやすいエリアに複数の爪とぎ器を置くと、ほかの場所で爪とぎをしなくなると思います。
寝床の近くや玄関の近くに置くのが効果的なことも
ちなみに、寝起きにマーキングをする猫が多いので、寝床の近くに置いてあげるのもいいですね。また、人や外の猫のニオイを意識しやすい玄関に置くのも効果的でしょう。
「1」が不正解なワケ
「1」の「爪とぎをするたびに引き離して、『ダメ!』と言って叱る」がよくない理由は、飼い主さんが叱っているつもりでも、猫は「抱っこされて嬉しい」「話しかけられて嬉しい」などと思ってしまうことも多いからです。
つまり、叱るたびに猫が喜んで、やめてほしい爪とぎを繰り返してしまう…というケースもあり、逆効果に!
「3」が不正解なワケ
「3」の「爪をとぐ場所をカバーで覆う」が不正解なのは、カバーをすることで爪をとがなくなる場合もありますが、猫のマーキング欲は満たされないままです。そのため、ほかの場所でまた爪とぎをしてしまう可能性もあるでしょう。
Q2.お手入れが苦手な猫。嫌がって暴れさせない方法で正しいのはどれ?
1.体を押さえつけてお手入れをする
2.猫が落ち着く場所でお手入れをする
3.おやつを与えている間にお手入れをする
正解は…「3」 おやつを与えている間にお手入れをする
猫がおやつに夢中なうちに、空いている手でブラッシングを♪
猫におやつを与えながらお手入れをしてあげると、苦手意識や嫌な気持ちが和らいで、お手入れの時間を好きになってくれると思います。
また、お手入れを終えたあとにもおやつを与えると、「お手入れのあとは、ごほうびがもらえるんだ!」と学習するので、試してみてくださいね。
お手入れを一気に済まそうとしないで!
お手入れをするときは一気におこなわず、少しずつがポイントに。「今日のブラッシングは背中だけにしよう」「明日はお腹をやってみよう」など配慮し、毎回猫がストレスを感じる前にやめるのがコツです!
「1」が不正解なワケ
「1」の「体を押さえつけてお手入れをする」がダメな理由は、この対応によって猫にケガをさせてしまう恐れがあるため。また、飼い主さんも抵抗する猫に引っかかれたり、噛まれたりして、ケガをしてしまう危険も!
こうしたトラブルによって、猫がさらにお手入れを嫌いになってしまったり、お手入れのたびに飼い主さんとの関係性が悪化することもあります。
「2」が不正解なワケ
「2」の「猫が落ち着く場所でお手入れをする」がNGなワケは、お手入れしやすそうに見えるけれど、猫からすれば落ち着ける場所を乱されてしまうようで、ストレスになる可能性があります。
猫が落ち着いているタイミングを狙うのはOKですが、寝床やハウスなどでお手入れをするのはやめましょう!
Q3.猫に人の手や足を噛ませない最適な方法はどれ?
1.噛まれたり、噛まれそうになっても無視して反応せず、その場を離れる
2.噛まれたら、「痛い!」と言って振り払う
3.噛まれるたびに「ダメ!」と言って叱る
正解は…「1」 噛まれたり、噛まれそうになっても無視して反応せず、その場を離れる
噛まれても目を合わさずに、その場を去ろう
愛猫がなにか好ましくない行動をした際は、何事もなかったかのような雰囲気を装うことがポイントに。噛まれて痛いとは思いますが、我慢してすぐにその場を離れ、別の部屋へと移動してください。
愛猫が噛みつきそうになったときは?
また、愛猫が噛みつきそうな素振りを見せたときも、同じように何事もないような雰囲気でその場を離れましょう。これを繰り返すと、「噛むと飼い主さんがいなくなってしまう」と学習して、噛むのをやめるようになります。
「2」が不正解なワケ
「2」の「噛まれたら、『痛い!』と言って振り払う」が不正解な理由は、猫にはそうした行為が「遊び」に映ってしまうから。
「一緒に遊んでくれるんだ!」と勘違いさせてしまい、これを繰り返すと噛み癖がエスカレートする可能性もあります。
「3」が不正解なワケ
「3」の「噛まれるたびに『ダメ!』と言って叱る」がいけない理由も「2」と同様に、猫は「遊び相手をしてもらっている」と勘違いしてしまうためです。
また、あまりに大きな声で叱ってしまうと、猫が余計に興奮したり、不安や恐怖などのストレスを発散するためにさらに噛んだりする恐れもあります。
猫じゃらしで遊んであげて♪
噛むことは、猫の狩猟本能です。ふだんはおもちゃで遊んであげるなどして、狩猟本能を満たしてあげましょう!
Q4.猫が上がってはいけない場所に上がった…正しい対応はどれ?
1.上がるたびに抱っこして下ろす
2.おやつなどで誘導して猫自ら下りるように促す
3.上がった瞬間に「あ!」と驚かす
正解は…「2」 おやつなどで誘導して猫自ら下りるように促す
「オリテ」と誘導しよう
おやつなどで誘導することで、猫に「ここから下りるといいことがあるんだ」と思わせることがポイントに。
方法としては、猫がテーブルなどに飛び乗ったときに「オリテ」と声をかけながら、おやつを見せましょう。ほかには、指先を猫に近づけたりして、猫が鼻先を近づけようとする習性を利用し、下へ誘導するのもいいでしょう。
ごほうびのおやつを与えるタイミングがポイントに!
そして、猫が下りたらごほうびを与えてください。おやつを与えるタイミングは、下りたときにあげましょう。猫には「下にいたほうがごほうびがもらえるんだ」と覚えさせたいので、誘導で使うおやつは下りるまで与えないようにしてくださいね。
「1」が不正解なワケ
「1」の「上がるたびに抱っこして下ろす」が不正解なワケは、猫が抱っこしてもらったことを「抱っこしてくれた」「かまってくれた」と喜んでしまうため。
この行動を繰り返すと、飼い主さんに抱っこしてもらいたいからと何度も上がるようになってしまいます。
「3」が不正解なワケ
「3」の「上がった瞬間に『あ!』と驚かす」は、タイミングが合えば効果的な場合もあります。
上がった瞬間に嫌なことが起こると、「ここに上がると嫌なことがあるからもうしない」と猫が思うでしょう。「あ!」と驚かすのも、そのひとつです。
しかし、驚かすタイミングがずれてしまっては効果はありません。また、大きな声を出した飼い主さんに対して悪い印象を持つ可能性もあるでしょう。
愛猫の困った行動をやめさせるポイント3つ
さて、4問が終わったところで、愛猫の困った行動をやめさせるためのポイントを確認しましょう!
ポイント1:困った行動をしても騒ぎ立てないようにしよう
猫の行動に対して、飼い主さんが「叱る」「声を出す」「猫を抱っこする」など派手に反応すればするほど、猫はそれを嬉しく思い、さらにその行動を繰り返すようになります。
愛猫が困った行動をしても、無視を徹底して静かにやりすごしましょう!
ポイント2:困った行動をしないように環境を整えよう
爪をとぐ、噛みつく、高い所に上るなどは、いずれも猫の本能的な行動。これらの行動をゼロにすることは無理なので、猫が発散できる場所を用意して、困った行動の原因となるストレスを感じないように環境を整えていきましょう!
ポイント3:してほしい行動を促してごほうびを与えよう
たとえば、抵抗せずにおとなしくブラッシングをさせてくれたごほうびとして、おもちゃで遊ぶ、上がった場所から下りたごほうびとして、おやつをあげる…などをしてみましょう。
ごほうびが強い動機づけとなり、困った行動の代わりに好ましい行動をしたほうがいいと、猫は学習するようになります。
今まで間違った対応をしていなかったかどうかを確認して、今後は正しい方法を実践してみてくださいね!
参考/「ねこのきもち」2020年6月号『正しい対応できてますか?\クイズでチェック/猫の困った行動、そのときどうする?』(監修:帝京科学大学生命環境学部 アニマルサイエンス学科准教授 加隈良枝先生)
イラスト/カトウミナエ
文/sorami