猫と暮らす
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心配性な人や猫が趣味になっている人は要注意! 猫にとってよくない飼い主の行動
この記事では、猫のためによくない飼い主さんの行動について、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
猫の機嫌を伺いすぎることは要注意! 猫と飼い主さんの双方に影響も
「なにごとも度を過ぎることはよくないでしょう。猫も生きている以上、ときには機嫌が悪くなることはあるでしょうからね」
「猫によっては、視線が熱すぎると不快に感じる場合も多いです。誰かに監視されていると感じることは、誰かに襲われる危険性があるということです。猫もひとりで静かに過ごす時間が必要です。
この場合、心配性な飼い主さんが陥りやすい状況かと思います。かなりお互いの精神がすり減るような感じがするのではないでしょうか」
「そうですね。あとは、猫と飼い主さん1対1の関係だと、猫にとって関係性を持てるのが飼い主さんたった1人ですよね。飼い主さんが母親役、きょうだい役を一手に引き受けなければなりません。そのため、飼い主さん1人に甘えることも多いです。
野生の猫は成猫になって独り立ちしますし、人間も独り立ちしますよね。こういった精神的な成長も必要なのです」
「そうですね。これは分離不安の状況になりやすいです。離れなければよいと思うかもしれませんが、この状況はお互いが常に不安でいっぱいの状況であり、落ち着いていないのです」
「猫が分離不安にならないように、1日のうちでお互いが離れる時間が必要です。そうすることで、『飼い主さんと離れているときも大丈夫』という安心感を猫自身の中に育てていきます。
『このコは私がいないとダメなの』と思っていらっしゃる飼い主さんは、人間のほうが猫に依存していることもありそうです。もし趣味が猫という熱中ぶりだと、その傾向は強いかなと思います」
猫の機嫌を伺いすぎている飼い主さんの実例
「実際に見かけたことのある例として2つ紹介しますね」
愛猫にご褒美をたくさん与えすぎた結果、キャットフードを食べなくなってしまった
「猫のご機嫌とりのためにご褒美をあげることはあると思います。ご褒美は何か難しいことをしたときに、少し与えるだけで大丈夫です。たまには、特別に楽しみとしてスペシャルなご褒美があってもよいでしょう。
しかし、ご褒美ばかりになると、ご褒美が主食としての量になります。また、猫を『ご褒美をたくさんもらえるなら、ほかのものは食べません』というスタイルに導いてしまいます。
猫は飼い主さんに、『ご褒美がないと気分が悪いですよ』というふうに見せているのかもしれません。猫はとても賢く、飼い主さんの表情や動きを見ています。食欲はあるけど食べない猫は、飼い主さんがつくりだしている可能性があるのです」
「そうですね。こういったケースは、ご褒美を与えることで猫とつながりを保っていると思っているのかもしれません。ご褒美ではなくてもほかにもつながりを持てますので、ご褒美が必要なのは猫なのか自分なのか、今一度考えてみるといいでしょう」
「かわいそうだから」と愛猫に薬を飲ませられない
「猫自体、投薬が難しい動物です。あまり執拗にやりすぎると食事さえもとらず、隠れて出てこなくもなりますので、投薬が大変なことは重々承知です。
しかし、そのまま薬を与えずに放っておくと悪化したり、治らなくなってしまったり、最悪の場合死に至ってしまうので、薬が処方されるのです」
「動物病院で練習することもできますし、一緒に頑張ってほしいと思っています。かわいそうといったネガティブな言葉は、猫も人間も本当にネガティブな気持ちにさせます。前向きな気持ちで取り組んでほしいです。
生きるために愛猫の健康を守ることも、飼い主さんの役目です。人間のお子さんにも、お菓子ばかり食べないことや好き嫌いなく食べることを教えたり、病気のときは薬を飲ませますよね。猫の場合もそれと同じです」
猫と飼い主さんの適切な距離感とは?
「頑張りすぎなくても、愛猫との日頃からのコミュニケーションで、見えないところで関係性は育っています。仮に愛猫の機嫌が悪くなることがあっても、早めに修復ができるようになります。
飼い主さんが愛猫に集中しすぎていそうなら、『自分自身のお世話は足りているかどうか』を確認してみてください。愛猫と飼い主さんそれぞれの時間と、一緒にいる時間といったメリハリをつけましょう」
取材・文/sorami
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