猫と暮らす
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石油ストーブに近づきすぎた猫に悲劇…寒い時期に注意したい猫の事故・ケガ
この記事では、「寒い時期に起こりやすい猫の事故・ケガ」について、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説。実際に先生が診た暖房器具によるケガについても紹介します。
寒い時期に起こりやすい猫の事故
「季節柄、暖房器具が関わるケガや体調不良が起こりやすくなります。たとえば、暖房器具の使用に伴う熱傷(やけど)や、こたつのように狭い空間をあたためる暖房器具の場合は、その高温な空間に猫が長時間居つづけることで熱中症のような症状を起こすこともあるので、注意が必要です」
石油ストーブに近づきすぎて、やけどした猫も
「かなり以前ですが、石油ストーブに近づきすぎて、しっぽの毛が燃えてしまった猫ちゃんを診たことがあります。
幸い、そのコの被毛が厚かったことと、飼い主さんがすぐに気づいてストーブから引き離したため大事には至らず、皮膚はごく軽症のやけどで済みました」
「そうですね。そのコの治療は、投薬とエリザべスカラーで皮膚を舐めないよう保護し、一週間ほどで皮膚は治りました。しかし、生活に支障はないものの、焦げてしまったしっぽの毛はその後しばらくは生えそろいませんでした。その猫ちゃん自身は気にしていない様子でしたが…」
暖房器具による事故を防ぐために覚えておきたいこと
「まず、『こたつでの事故』を予防するには…
- こたつの中の温度が上がりすぎないように注意すること
- 愛猫がその中に長時間居つづけていないかを気にかけること
- 日ごろから飲水がしやすい環境づくりをすること
また、『やけど』については、ホットカーペットやヒーターによる低温やけどだけでなく、先述したように石油ストーブやガスファンヒーターなど高温になる器具に近づきすぎて毛が焦げ、やけどを負う事故が起こることもあります」
「猫は皮膚が厚い毛におおわれているため、皮膚で直接熱を感じるまでの時間がやや長くかかります。そのためか、毛の表面がかなり高温になっていて危険な状態でも、自分でやけどを避けようとする行動が見られないことも少なくありません。
なかには、ストーブへの近づきすぎで毛が焦げていても気づいていない様子の猫も時折見られますので、暖房器具を使用する際には、愛猫が近づきすぎないようにあらかじめ柵を設けるなどの工夫をしておくほうがよいでしょう」
とくに高齢の猫は低温やけどに注意
「ホットカーペットなど穏やかにあたたまるような暖房器具でも、皮膚の同じ場所が長時間あたためられすぎることで、低温やけどを負うことがあります。
これは、高齢の猫などずっと同じ姿勢で過ごすことが多い世代の猫で起こりやすく、肘、肩、手首や足首、かかと、太ももの上の方(大腿骨の上の端の部分)など、もともと筋肉や脂肪が少なく、骨が出っ張りやすい部分の皮膚での受傷が多い印象です」
「高齢の猫がホットカーペットなどの暖房器具の上で長時間同じ姿勢で過ごしているようなら、猫が休む場所は厚手のマットや猫用ベッドなどを置いて皮膚への熱の伝わりを減らしたり、人がサポートして時々姿勢を変えるよう促したり、温度調節をこまめにするなどの配慮をしてあげるとよいでしょう」
取材・文/柴田おまめ
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