1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 雑学・豆知識
  4. 石油ストーブに近づきすぎた猫に悲劇…寒い時期に注意したい猫の事故・ケガ

猫と暮らす

UP DATE

石油ストーブに近づきすぎた猫に悲劇…寒い時期に注意したい猫の事故・ケガ

寒い時期には、暖房器具の前であたたまるのが好きな猫も多いですよね。しかし、注意しないと思わぬ事故が起こることもあります。

この記事では、「寒い時期に起こりやすい猫の事故・ケガ」について、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説。実際に先生が診た暖房器具によるケガについても紹介します。

寒い時期に起こりやすい猫の事故

くつろぐ猫
getty
ーー寒い時期にとくに多く見られる猫の事故はなんでしょうか?

ねこのきもち獣医師相談室の獣医師(以下、獣医師):
「季節柄、暖房器具が関わるケガや体調不良が起こりやすくなります。たとえば、暖房器具の使用に伴う熱傷(やけど)や、こたつのように狭い空間をあたためる暖房器具の場合は、その高温な空間に猫が長時間居つづけることで熱中症のような症状を起こすこともあるので、注意が必要です」

石油ストーブに近づきすぎて、やけどした猫も

診察を受ける猫
getty
ーー先生は実際に、寒い時期に起こった猫の事故で診察したことがありますか?

獣医師:
「かなり以前ですが、石油ストーブに近づきすぎて、しっぽの毛が燃えてしまった猫ちゃんを診たことがあります。

幸い、そのコの被毛が厚かったことと、飼い主さんがすぐに気づいてストーブから引き離したため大事には至らず、皮膚はごく軽症のやけどで済みました」

ーーストーブの前であたたまるのが好きな猫は多いですが、やけどすることもあるとは怖いですね…。

獣医師:
「そうですね。そのコの治療は、投薬とエリザべスカラーで皮膚を舐めないよう保護し、一週間ほどで皮膚は治りました。しかし、生活に支障はないものの、焦げてしまったしっぽの毛はその後しばらくは生えそろいませんでした。その猫ちゃん自身は気にしていない様子でしたが…」

ーー軽症でよかったですが、もしもっとひどいやけどを負ってしまったらと考えるとゾッとしますね。石油ストーブの前にいるのが好きな猫もいますが、扱いには充分に気をつけてあげないといけませんね。

暖房器具による事故を防ぐために覚えておきたいこと

眠る猫
getty
ーー暖房器具による事故や不調を防ぐために、どのようなことを気をつければよいですか?

獣医師:
「まず、『こたつでの事故』を予防するには…
  • こたつの中の温度が上がりすぎないように注意すること
  • 愛猫がその中に長時間居つづけていないかを気にかけること
  • 日ごろから飲水がしやすい環境づくりをすること
などの配慮があるとよいでしょう。

また、『やけど』については、ホットカーペットやヒーターによる低温やけどだけでなく、先述したように石油ストーブやガスファンヒーターなど高温になる器具に近づきすぎて毛が焦げ、やけどを負う事故が起こることもあります」

ーーかなり近くまで暖房器具に近づくコもいますが、猫は熱を感じにくいのでしょうか?

獣医師:
「猫は皮膚が厚い毛におおわれているため、皮膚で直接熱を感じるまでの時間がやや長くかかります。そのためか、毛の表面がかなり高温になっていて危険な状態でも、自分でやけどを避けようとする行動が見られないことも少なくありません。

なかには、ストーブへの近づきすぎで毛が焦げていても気づいていない様子の猫も時折見られますので、暖房器具を使用する際には、愛猫が近づきすぎないようにあらかじめ柵を設けるなどの工夫をしておくほうがよいでしょう」

とくに高齢の猫は低温やけどに注意

眠る猫
getty
ーーちなみに、「低温やけど」とは具体的にどのような状態でなるものなのでしょうか?

獣医師:
「ホットカーペットなど穏やかにあたたまるような暖房器具でも、皮膚の同じ場所が長時間あたためられすぎることで、低温やけどを負うことがあります。

これは、高齢の猫などずっと同じ姿勢で過ごすことが多い世代の猫で起こりやすく、肘、肩、手首や足首、かかと、太ももの上の方(大腿骨の上の端の部分)など、もともと筋肉や脂肪が少なく、骨が出っ張りやすい部分の皮膚での受傷が多い印象です」

ーーそういうコの場合、どういう対策をしてあげるとよいでしょうか?

獣医師:
「高齢の猫がホットカーペットなどの暖房器具の上で長時間同じ姿勢で過ごしているようなら、猫が休む場所は厚手のマットや猫用ベッドなどを置いて皮膚への熱の伝わりを減らしたり、人がサポートして時々姿勢を変えるよう促したり、温度調節をこまめにするなどの配慮をしてあげるとよいでしょう」

眠る猫
getty
寒い時期、暖房器具の使用は必須ですが、猫のいる家庭では扱いに充分気をつける必要があります。この冬、愛猫が安全にあたたまれるように環境を見直してみてくださいね。

(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
取材・文/柴田おまめ
CATEGORY   猫と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る