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猫の繊細さは人が思っている以上! 環境変化と便通の話【連載】渋ネコししまるさん #139

 ある夜、ししまるは大きな異音をたて床に下痢をしました。ししまるのトイレを使う位置が悪かったのだと思います。ししまるは、小を奥側に、大を手前にする癖があるので、お尻が床に出てしまったというわけです。

 この約12年間でこんなにひどい下痢は初めてだったので、次の日僕は、ししまるをケージに入れて、お世話になっている動物病院へと駆け込みました。
「は…腹が痛い…」
「何か思い当たることは?例えば環境の変化とか」

 先生の一言で脳裏によぎったのは“まることの生活“でした。下痢になる2週間前から、ししまるとまるこは一緒の部屋で寝ていたのです。

「それかも知れないね」と言いながら、先生はししまるの背中を引っ張り手を離すと「戻りが悪いね。ちょっと脱水気味かな」と言って、点滴を始めました。ししまるの首後ろの皮に針が刺されましたが、ししまるはじっと動きませんでした。

 首後ろの皮は、人間の肘の皮のように見えるので痛みは少なそうだと思うものの、注射嫌いな僕には涙目になりそうな太さの針。ししまるに申し訳ない気持ちになりました。
「ししまる、大丈夫?」
 その日から僕はトイレ近くのソファーで寝て、ししまるのお尻の異音で目覚める生活が続きました。下痢が出るたびに、時間・状態・匂いなどをスマホに記録しました。どんなに疲れていても、あの音を聞くとぱっと目が覚めるのは、ししまるへの”愛と懺悔”からでしょうか。スマホのサムネイルは、人には見せられない『うんコレクション』で埋め尽くされています。
「見事なうんコレクション…早く消してくれ…」
 回復の兆候が現れたのは3日目の朝でした。ししまるの食欲も戻り、これで朝のコーヒーも落ち着いて飲めると思ったのもつかの間、今度は便が出てこないのです。

 ソファーで寝る生活は続き、待つこと5日目の早朝。立派な物が出てくれました。
「また会えたね」
カーテンから差し込む朝日の中、僕は自然と手をあわせて拝んでいました。無宗派ですが。
 その後ししまるとまるこは、一日少しの時間だけ合わせることにしました。たまに一緒に眠ることもあったので油断していましたが、人間が思う以上に、猫たちは繊細なんだと、胸に強く刻んだのでした。
アッパーカット気味の熱烈なスリスリ

Taco(たこ)プロフィール

東京在住の漫画家・イラストレーター・キャラクタデザイナー。
「ちいさな猫を召喚できたなら」「3匹のちいさな猫を召喚できたなら」「ぷっちねこ。」(徳間書店)など、好評発売中。「ちいさな猫を召喚できたなら」は重版後、中国版・韓国版・インドネシア版も発売。
現在、Web上では不定期に新作漫画を更新中。詳しくは以下のSNSへ。
・Instagram
 Tacoのインスタ: @tacos_cat
 ししまるのインスタ: @emonemon
・Twitter@taco_emonemon
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