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『衝撃!譲渡会でロシアンブルーがいた!』ブリーダーに見放された目を患った子猫を「迎え入れたい」と願った飼い主の覚悟
チコちゃんはサリーママさんが実家で暮らしていた時に、リビングの窓にへばりついて「おうちに入れて~!」と鳴き、助けを求めて来た猫。子猫時代から21年の時を一緒に過ごし、最後の2年余りはサリーママさんが懸命に介護しました。大往生といわれる歳であっても、いつもそばにいてくれた愛猫がこの世から去るのは本当につらいもの。
チコちゃんの死後、「猫を飼うのはチコが最後」と心に決めたといいますが、その2か月後に新たな猫との出会いが訪れます。
「譲渡会にロシアンブルーがいる!」の衝撃
サリーママさんはチコちゃんを亡くしてから、自身の年齢やひとり暮らしであることを考え、「最後までお世話できるかわからないから新しい猫は飼わない」と心に決めていました。だからこそ、「絶対に見ない」と頑なに譲渡会を避けていました。
しかし、家に帰ってもチコちゃんがいない寂しさは日に日に募り、ついにある週末に譲渡会のケージの前に行ってしまいます。かわいい猫たちの中に、か細くて小さい目を引くロシアンブルーがいました。「きれいな猫だから、きっと素敵な飼い主さんに出会えるはず」。そう思い、その日は帰宅。でも、頭からロシアンブルーの猫の姿が離れません。
「でも、すごく気になってしまった」というサリーママさんは、翌週も譲渡会を見に行くことにしました。
友人とチコちゃんに背中を押されて…
その翌週には再びロシアンブルーがいるではないですか!友だちに話をして一緒に譲渡会に舞い戻りました。
その譲渡会は、里親の条件としてひとり暮らしの方には譲渡不可を掲げていましたが、友人がサポート役を買って出てくれました。「この人はつい最近まで21歳の猫を介護して見送ったので、きちんとお世話ができます。私が保証人にもなりますし、万が一彼女に何かがあった場合は、私が猫の面倒を見ます」と、サリーママさんを推薦してくれたのです。
「あのコを迎えたいな」という思いが高まり、連絡先を残して帰ってきたサリーママさんですが、譲渡会の方からしばらく連絡はありませんでした。「ちゃんとした飼い主さんが見つかったのかな」と気を揉んでいた矢先に連絡が来て、再び譲渡会を訪れます。ロシアンブルーを抱っこさせてもらうと、そこで初めて左目が真っ白なことに気付くのです。「このコ、目は見えているんですか?」と確認したところ、「見えてはいるんですよ」と言われました。
なんでも、そのロシアンブルーは小さい頃に猫風邪によって左目が白く濁り、「売り物にならない」としてブリーダーから見放され、譲渡会にレスキューされてやってきたという悲しい過去がありました。自然と「うちのコになってくれる?」とロシアンブルーに呼びかけていたというサリーママさん。「チコが『このコがいいよ』と言ってくれたような気がしました」と振り返ります。
トライアルでわんぱくぶりを発揮! 正式に譲渡契約へ
しかし、チコちゃんの介護経験もあるサリーママさんは、そんなことでは動じません。カーペットにしてしまったおしっこの臭いを猫砂につけ、毎回トイレで排泄させることに成功。日に日に慣れていっぱい遊び、ご飯もモリモリ食べる猫にサリーちゃんと名付け、正式に迎えることになりました。
お迎えと同時にサリーちゃんの治療をスタート「治してあげたい!」
すぐに病院に連れて行くと、「完治は難しいけれど、目薬で良くなるかもしれない」と診断を受けました。サリーママさんは現在も根気強くサリーちゃんの目に点眼を続けています。真っ白だった目は、ずいぶん濁りが取れて黒目が見えるようになりました!
実はサリーちゃん、目以外にも問題を抱えていました。「すっかり目ばかりに気を取られていた」というサリーママさんは、ある日サリーちゃんが頭をものすごく振り、耳をかくことに気付きます。左耳からベタベタの塊が飛び出すわ、すごい臭いもするわで慌てて病院へ。外耳炎との診断を受け、一進一退を繰り返して2年半以上も通院しました。
最終的には大きな病院で診てもらい、ポリープや鼓膜の変形が確認され、手術も受けます。「これで良くなる!」と思ったのも束の間、また調子が悪くなり、現在は中耳炎の治療のため通院しているそうです。
「まだ3歳だから、目は完治しなくても、耳はなんとか治してあげたい」という愛猫思いのサリーママさんのおかげで、サリーちゃんは適切な治療を受けています。サリーちゃんもそうしたサリーママさんの思いをわかっているのか、「お薬も上手に飲んで、頑張ってくれています」とのことです。
「ツンデレ娘で抱っこもさせてくれませんが、サイレントキャットのサリーが小さい声で鳴いて甘えてくれる時が最高の幸せです」とサリーママさんは幸せをかみしめています。
あまり鳴かない猫種で「サイレントキャット」と呼ばれるロシアンブルーのサリーちゃんが、聞こえるか聞こえないかの小さな鳴き声でサリーママさんを呼ぶ姿が想像できますね。
愛猫により良い生活を送ってほしいと願い、そのために根気強くサリーちゃんの病気と向き合い、努力を惜しまないサリーママさん。サリーちゃんへの深い愛情が伝わってくるエピソードでした。
取材・文/賀来 比呂美
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