猫が好き
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震災後に見つけた「里親募集の貼紙」を前に後悔したくないと決意!迎えた2匹の猫に、反抗期の息子たちの笑顔も増える
震災後、「いつもと同じ明日が来るとは限らない。後悔しない生き方をしなければ…」と漠然とした思いを抱えていたゆゆりり母さんは、子どもの頃からの夢を叶えるため、一歩を踏み出す決意をしました。
三度会いに行って決意! 念願の猫たちとの生活がスタート
震災から4か月ほど経ったある日、少しずつ日常が戻り始めていると感じた矢先に、ゆゆりり母さんは、偶然、子猫の里親募集の貼り紙を見かけました。お母さんが動物が苦手だったため、小鳥以外はペットを飼ったことがなかったのですが、ゆゆりり母さんはずっと「猫を飼いたい」と願い続けていたのです。
震災を経験し、「後悔しない生き方」を模索していたところだったので、その貼り紙のことがずっと頭から離れなくなっていました。「本当に飼えるだろうか…」と会いに行ってみようと決めるまでに10日以上、悩みに悩み抜きました。「タイミングが震災後のあの時でなければ、いくら『かわいい』と思っても、会いに行こうとまでは思わなかったと思います」。
そして、ついに会いに行くことに。一度目は猫好きの友人と一緒に。貼り紙では7匹いた子猫は、すでに5匹になっていました。子猫たちのかわいさに虜になりました。
二度目は2人の息子を連れて。中1、高1と反抗期真っ盛りの2人でしたが、子猫たちにはメロメロになっている姿を見て、ゆゆりり母さんは「家に迎えたいな」という気持ちがさらに募ります。
三度目は実家で飼っている猫の相棒を探していた猫好きの同僚と共に。
三度の面会を経て、ゆゆりり母さんさんは2匹の子猫をついに迎えました。ゆゆちゃん(♂)とりりちゃん(♀)です。(なお、三度目に一緒に見に行った同僚の方は、ゆゆちゃんとりりちゃんの兄弟猫を1匹迎えました!)
反抗期の息子たちが猫にはメロメロ! 家を出てからは“猫分不足”になると帰省
その後、息子さんたちも大人になり、実家を出て暮らしているご長男は、ゆゆとりりに会いたくなると、『猫分(水分や糖分と同じ意味)が足りなくなった』と言って帰ってくるんだそう。
しかし、コロナ禍になってからは帰省も簡単にはできなくなってしまいました。たまにご長男から「ゆゆとりりの写真を送ってくれ」とLINEが来るそうですが、それ以外でLINEが来ることは「まず、ないです」と哀愁を漂わせるゆゆりり母さんでした(笑)。
「猫らしい猫」と「犬みたいな猫」と正反対な性格の2匹…共通点は「甘えっ子」
ゆゆりり母さんによると、りりちゃんは「甘えっ子で家族の膝の上が大好き。何としても膝に乗りたいわりには、抱っこはNG(愛する次男以外)。勝手気ままに好きなことだけ要求してくる猫らしい猫」。
それに人懐っこくお客様が大好きで、業者の方の後も付いて回り、しかも足の匂いを嗅ぎたがるんだとか…。「失礼なので「誰の匂いも嗅ぐんですよ〜」と意味のわからない言い訳をする羽目になります」。なんだか、クンクンするりりちゃんと、あたふたするゆゆりり母さんの姿が想像できて微笑ましいですよね。
一方で、ゆゆちゃんはどこにいても名前を呼ばれると走って来て「『コロンして』『のびのびして』と言うと、コロンと寝転んで、のびのび~としてくれる犬みたいな猫」。夜はゆゆりり母さんの腕枕でぬいぐるみのように抱っこされて寝る甘えっ子ですが、他人に対しては超ビビリで、インターホンが鳴ると隠れ、知らない人の声が聞こえる間は決して出て来ないんだそうです。りりちゃんと正反対ですね。
故郷を訪れるたびにざわつく心…2匹の猫が待つ家に帰ればホッとできる
震災は、ゆゆりり母さんにとって「今も胸が張り裂けるようなつらい出来事」でしたが、「かけがえのないこのコたちと出会うきっかけになりました」と前向きに語ります。
震災が起きた時、時期的に2匹は他の子猫たちと母猫のお腹にいたと考えられます。子猫たちが保護された地域は、津波の影響はなかったものの、何度も何度も本震くらいの大きな余震がありました。「そんな過酷な状況の中で、7匹の子猫を守り抜いてくれたお母さん猫には感謝の気持ちでいっぱいです」とゆゆりり母さんは母猫に思いを馳せます。
「震災によってぽっかりと空いた心のすき間を埋めてくれた」という2匹は、これからもゆゆりり母さんに寄り添い続けてくれるでしょう。
Instagram(@yuy_rir)
取材・文/賀来 比呂美
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