猫が好き
UP DATE
獣医師の「救ったね」という言葉に励まされて献身的に看病。「覚悟が必要」だった病気の子猫が今やイケメン猫に
大人になれるかわからない…でも「このコを幸せにしたい!」必死の看病がスタート
ブリーダーの家で会ったカシオちゃんは、目やにがひどく、鼻水も出ていて、抱っこさせてもらうと至る所にかさぶたがある状態。ブリーダーには「大丈夫」と言われるも、明らかに大丈夫ではなく、その場でカシオちゃんを家族に迎えることを決意しました。ご主人と話し合い、「我が家ならこのコを幸せにできる!」という意思確認が一致したからです。
ブリーダーから渡された薬は受け取らず、カシオちゃんを引き取ったその足で動物病院へ。例の獣医師に詳しく診てもらうと、カシオちゃんは生後3か月で体重は700グラム(適性体重は1キロ~1.5キロ)と小さく、風邪を引き真菌症にかかってかなり体調が悪かったため、「もしかしたら大きくなれないかも」「覚悟は必要だね」と厳しい言葉をかけられたのでした。
その一方で、カシオちゃんが今までいた環境や事情について話すと「救ったねぇ」「置いて帰れないよね」「本当によかった」とともこさんに共感を示し、ともこさんを奮い立たせる言葉もくれました。また、「何かあったらすぐに連絡して」「万が一のために夜間病院の情報を渡しておくね」と、いつでもともこさんが誰かに頼れる環境を用意してくれました。
それからともこさんご夫婦&カシオちゃんの闘病生活がスタート。初めはくしゃみと青っぱながひどかったカシオちゃんは、2、3日に1回注射を打ってもらいに通院しました。同時に、体重が増えているかもチェック。通院ペースは徐々に1週間に1回、2週間に1回と減らしていくことができました。
「先住猫に病気がうつったらどうしよう…」悩んだ時も獣医師に救われた!
風邪と真菌症にかかっているカシオちゃんと、健康なゆづちゃん。もちろん別々の部屋にできればいいのですが、なかなか完全に隔離するのは難しい状況。そこで獣医師から消毒の徹底と、栄養価の高いご飯をあげて2匹の免疫力を高めることをアドバイスされ、ともこさんは1日に2回、家じゅうを雑巾がけして除菌に努めました。
「人間は、猫のストレスを100パーセント理解してあげることはできないと思っています。だから、家の中ではゆづとカシオのしたいように行動させ、室内を暖かくして湿度を保ち、菌を繁殖させない。栄養価の高いご飯をあげるということを本当に意識しました」とともこさん。その努力が実り、ゆづちゃんは風邪にも真菌症にかかることもないまま、カシオちゃんは完治! 4年経った今はすっかり「イケメン猫」です。「ゆづの手前、大きな声では言えませんが、主人も『カシオって本当にイケメンだよなぁ。かわいすぎるよな』と言っています」。
当時について、「獣医さんがこちらの気持ちを理解してくださったことは、本当に心の支えになりました」と振り返るともこさん。「『2匹を絶対一緒にしちゃダメ! 別々に!』と言われていたら、頑張れなかったかもしれません」。確かに、できないことを押し通されるよりも、「それならこうしてみよう」と代替案を考えてもらえる方が飼い主さんの負担はグッと減りますよね。カシオちゃんの闘病中、ご主人も非常に協力的でした。ゆづちゃんとカシオちゃん中心の生活を送り、ともこさんを支えました。現在ではもう1匹の猫nicaちゃん(♀)が加わり、よりにぎやかになったともこさん一家です。
回復したカシオちゃんは一家で一番賢くイケメンな猫へと成長
ともこさんの必死の看病のおかげで、カシオちゃんはとても元気になりました。それでもともこさんは「このコが赤ちゃんの時、どんな苦労があったのかをわかってあげられないのがとてもつらいです」と幼い頃のカシオちゃんを思い出し、しんみりしてしまうことがあるそうです。
生きるか死ぬか…そんな極限の状況を一緒に乗り越えたからこそ、「大きくなってくれてありがとう。生きてくれてありがとうと心から思います。そして我が家の一員になってくれて本当にありがとう」というともこさんからカシオちゃんへのメッセージが、心にしみます。
取材協力・写真提供/ともこさん
Instagram(@_10moco_)
取材・文/賀来 比呂美
UP DATE