猫と飼い主さんのはじめての出会い。その出会いすべてが喜びで溢れたものであれば幸せですが、ときに残酷な事実に胸が締め付けられることもーー。
今回紹介するのは、MrJin650さんがYouTubeに投稿した動画。視力を失いかけた捨て猫を保護してからの献身的な看病の日々、そして新しい飼い主さんを見つけるまでの愛の記録です。
ひどい結膜炎で視力を失いかけた子猫を保護
ある年の10月22日(土)の夜のこと、視力を失いかけた子猫を保護した投稿者さん。ひどい結膜炎で両目が見えなくなり、痛々しい姿で保護されたそうです。
こちらを警戒してか、「シャーッ!」と威嚇。
しかし、子猫もやっぱり寂しかったのでしょうか。深夜になると甘えてきて、お風呂に入れてあげたらすっかり安心し、投稿者さんと一緒に朝まで眠ったそうです。
翌朝、目が見えないせいか、まだ警戒している様子。猫ミルクにも、エサにも無反応。動こうともしなかったといいます。
思ったよりも症状のひどい結膜炎を、どう治していくかーー。投稿者さんは、お湯を含ませたガーゼで、目元をやさしく拭いていきます。
しかし、ひどいのは目だけではありませんでした。鼻も詰まっていて、息も苦しそうな子猫……。
次第に生命力が落ちていく……
3日目の朝のこと。投稿者さんの献身的な看病により、光を認識できるように。
一歩一歩とゆっくりですが、歩けるようになりました。
しかし、心配なのはまだゴハンを食べてくれないこと……。投稿者さんは、子猫の生命力が落ちているのを感じていました。
スポイトで子猫用のミルクを無理やり与える日々に、不安も募ります。
子猫を引き取ってから3日目。月曜日で病院が開いていたので、受診をすることに。重篤なウイルスにやられてはいないと診断を受け、ほっと安心。
動物病院で診てもらいわかったことは、この子猫は生後1カ月くらいだということ。体重は、まだ400gほどだったそうです。
小さな小さな体で、懸命に生きようとしていたのです。
3日目の夜、ついにゴハンを食べてくれた!
その日の夜、子猫はついにゴハンを口にしてくれたのだとか。その日から、食欲が回復!
これまで全然食べれなかったのが嘘のように、モリモリたくさん食べる子猫。
生きるために食べるーー。そんな子猫の生きる力に、見ている私たちも光を感じることができませんか?
赤く閉じていた目も、少し開くようになって。見た目はまだ痛々しいけれど、回復の兆しが徐々に見えてきました。
ゴハンを食べ終わると、自分の足でトイレへ向かう子猫。最初はまったく歩けなかったのに……すごい。
子猫と投稿者さんとの間に信頼関係も
子猫にもうひとつ変化が。それは、子猫らしい姿を見せるようになったこと。投稿者さんの足の下で遊んでいるような、スリスリしているような姿からも、それがうかがえます。
これは、信頼関係が築けてきたということでしょう。投稿者さんは子猫を見ながら、いつもこう願っていました。
「とにかく、しっかり食べろ」
子猫に早く元気になってほしいという強い気持ちが、子猫にも通じたのでしょう。
日々「はじめて」を積み重ねていく子猫
おネムなのに、iPadの上に乗せられたり(笑)……
そして、もうひとつ大きな変化が。これまで子猫に名前はなかったけれど、いつしか「ニコ」と呼ばれるように。ニコちゃん、いい名前だね!
気になる目の様子は、動物病院でもらった抗生物質と軟膏で効果があらわれてきたみたい。鼻は完治して、よりいっそうゴハンをモリモリ食べるように。よかった!
ニコちゃんを、これから誰が育てていくのかーー
これだけ懸命に看病をして育てている投稿者さんですが、じつは投稿者さんのお宅では、このコを飼えないのだそう。
元気になって、甘えてくれるようになったニコちゃんを見ると、ずっと一緒にいたい気持ちが募るけれど……早くほかにいい飼い主さんを見つけてあげないといけないのでした。
投稿者さんの心配事は、子猫の見た目。目がキレイに治らないともらってくれる人がいないのでは、と気がかりだったのですが……
保護して10日目の朝、こんなにも目の状態がよくなっている!
2週間目には、こんなにも澄んだ瞳に。とっても美人なニコちゃん。
「最初はこのままダメかもと思ったけれど、元気になって良かった」
投稿者さんはこう述べますが、投稿者さんのご家族の愛情のおかげでここまで回復したのだと思います。
ここまで回復したということは、そろそろ里親を探さなければ。投稿者さんも「情が移る前に……」と、考え始めていたのでした。
ニコちゃんに、運命のめぐり合わせが!
里親募集を出そうと思っていた投稿者さんですが、ここでなんとも思いがけないめぐり合わせが!
久しぶりに連絡をとった学生時代のご友人との話の中で、ひょんなことから子猫の話が出たのだとか。
それから、話はどんどんと具体化していきます。その翌日には、「ニコちゃんを家族に迎え入れたい」と、正式なお返事がきたのだそう!
どうやら昨年、そのご夫婦で飼っていた2匹目の猫が亡くなってしまい、あとに残された同居猫と寂しい思いをしていたそうで……。新しい子猫を迎え入れたいと、探していたところだったようです。
ニコちゃんを飼ってくれる人が、猫を飼うことに慣れていて、それが知人だったこと。それは、投稿者さんにとってもうれしいことでした。
わずか1カ月でニコちゃんの病気が治ったこと、そして人に心を開き、人と暮らすことに喜びを感じるようになれたこと。
「一緒にいる間はとても楽しかったし、ニコに触れた人はみんな笑顔になった」
「ある意味自然淘汰だから捨て猫なんて放っておけ、そういう人もいるけど、あの夜この子を見つけられて本当に良かった」
投稿者さんは、そう振り返ります。
そして、ニコちゃんと過ごした1カ月。投稿者さんは自分のお子さんに、ニコちゃんを通じて「ペットを飼うことの意味や責任、猫や犬の去勢手術の必要性もリアルに教えることができた」と語ります。
ニコちゃんの懸命に生きる姿を見て、あなたは何を感じるでしょうか?
そして、投稿者さんとニコちゃんとの出会いから約1カ月後、ニコちゃんは新しい飼い主さんと一緒に鎌倉へと向かったのでした。
ニコちゃんの新しい生活の始まりです。
視力を失いかけた状態で、暗闇の中を彷徨っていた子猫。心優しい投稿者さんに見つけてもらえなければ、いまどうなっていたかわかりません。
投稿者さんの献身により元気な姿になって、新しい飼い主さんと出会うことができた。ニコちゃんはいま、きっと幸せに暮らしているはずです。