我が家の愛猫には健康で長生きして欲しいというのは飼い主さん共通の願いですよね。今回は、獣医師の田草川佳実先生に室内でも猫がストレスなく、安心して過ごせるためにできることを8つ教えていただきました。
猫らしい行動を叶える
窓の外を眺めさせる
窓の外を眺めるだけでも、猫には気晴らしになります。鳥や虫を眺めたり、その鳴き声に耳を澄ませたり、風に乗って運ばれてくる草花のニオイを嗅げるようにしたりして、室内でもできるだけ五感を刺激し、自然の営みを味わえるようにしましょう。
脱走防止などに充分配慮しながら窓を網戸にしたり、出窓がある場合は手前にステップを用意したりするなど「窓の外の刺激」にアクセスしやすくしてあげると、猫も満足するでしょう。
家の中でも”狩り”ができるように
狩猟本能を持つ猫は、獲物を捕まえるためのジャンプ力や瞬発力、静かに身をひそめる能力などを持っています。このような狩りのための能力は、室内での生活ではあまり発揮するチャンスがありません。そこで、狩りの欲求を満たすためにおすすめなのが、じゃらし遊びやトンネル遊び。このような“狩りの疑似体験”の遊びの後にゴハンやおやつを与えると、さらに猫の本能が満たされます。
爪とぎ器を置く
爪とぎには、爪を鋭く保つためのほか、気分転換やマーキングといった心理的欲求を満たす意味もあります。爪とぎ器を用意して、大いにその欲求を満たせるようにしましょう。設置するのは、マーキングがしやすい場所、すなわち人やほかの猫のニオイがする場所がおすすめです。玄関や窓際などがそのような場所になりやすいです。
ストレスの元を遠ざける
キャリーケースに慣れさせておく
「キャリーケースに入ると動物病院に連れていかれる」と、キャリーケースが苦手な猫が多いようです。愛猫が余計なストレスを感じないようにするためにも、日ごろからキャリーケースに入ることに慣れさせておきましょう。たとえば、キャリーケースを日常的に使うハウスのひとつとして活用するのも一案です。
トイレはいつも清潔に
トイレが汚れていると、猫がトイレに行かずに粗相をしたり、排泄を我慢して泌尿器系の病気になってしまったりすることもあります。トイレはいつも清潔にしておきましょう。排泄物はなるべくこまめに処理し、予備のトイレも用意しておくのが理想。飼育匹数プラス1個のトイレを用意するのがおすすめです。
大きな音・強いニオイは避ける
たとえば近所の工事の音など、大きな音が苦手な猫は多いようです。外で大きな音がする場合は、家の中でもなるべく音が届かない場所に猫のスペースを用意しましょう。このとき、飼い主さん自身は落ち着いた態度でいたほうが、猫は安心できます。
ニオイで気をつけたいのは、お香や消臭スプレーです。猫にとっては刺激が強すぎる場合があります。特に喘息などの持病がある猫にはストレスになるので、強いニオイのものの使用は避けましょう。
落ち着ける”隠れ家” を用意する
元来猫は、身を隠したり、狩りの拠点とするために、岩穴などのまわりを囲まれた狭い空間に潜んでいたりしたといわれています。その名残か、猫は暗い穴蔵のような“隠れ家”があると安心して落ち着くようです。
猫ハウスのほかに、キャリーケースや押入れの中などを利用するのもOK。猫からは周囲が見えて、人からは見えにくい場所に置くと、より安心できるようです。
環境を変えるときはゆっくりと時間をかけて
新しい環境に猫を慣れさせる必要がある際は、ゆっくりと段階を踏むことが大切です。
例えば新たに猫を迎える場合に、いきなり対面させるのはストレスが大き過ぎます。「別々の部屋で過ごさせる」→「同じ空間で、新入り猫は目隠しの布をかけたケージで過ごさせる」→「目隠しの布を取ってみる」→「新入り猫のケージの扉を慎重に開け、中と外を行き来できるようにする」など、様子を見ながら段階を追って猫同士を近づけます。
人と猫では感じるものが違うこともあります。大好きな愛猫といつまでも快適に暮らせるよう、少しの気づかいと工夫を取り入れ、ストレスが少なく安心して過ごせる室内環境を目指しましょう。
参考/「ねこのきもち」2021年11月号『ご長寿猫が教えてくれた、well-beingな暮らし方 長生きは"幸せ“と関係するらしい!?』
文/Yoko N
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。