子猫を初めて飼育する場合、不安なことが多いですよね。仲良く暮らしていくためには、体と心の成長を理解することが大切です。今回は子猫期の成長や、飼い主さんがしてはいけないことをねこのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生に教えていただきました。
子猫期はいつまで?
子猫期とは、生後0~12カ月頃までの期間をさし、この期間は、体も心も大きく成長していきます。ここでは、それぞれの成長目安をご紹介します。
体の成長
生まれたばかりの子猫の体重は、およそ100~130gほどですが、生後1週間も経つと220~280gほどに成長します。その後生後3カ月で1kg前後に、生後6カ月を過ぎると急激な体重の増加は見られなくなり、生後12カ月頃には3~5kg程度の体重で落ち着き始めます。個体差もありますが、生後12カ月の頃の体重は、そのコの基準になる体重だといわれているので、その後に大きく増減がないようにしていきましょう。
歯の成長
猫も人と同じで、初めに乳歯が生え、その後永久歯に生え変わります。乳歯は生後3週間くらいから生え始め、生後2カ月ほどで生えそろい、その後、生後3カ月頃から生後6カ月頃にかけて永久歯になっていきます。
猫の歯は乳歯のときは計26本ですが、永久歯に生え変わるときは後臼歯が上下に2本ずつ加わり、計30本になります。
心の成長
猫の心の成長に一番影響を与えるのが、生後2~3カ月の頃です。この時期は、社会性を身につける時期だといわれているため、さまざまな猫や人と触れ合わせるといいでしょう。人や猫と関わり社会性を身につけたコは、成猫になっても人間社会の中でストレスを感じにくくなり、そそうやかみつきなどの問題行動が見られにくく、穏やかな性格に育ちやすくなります。
成長の過程でやってはいけないこと・心がけたいこと
フードやおやつの量を自己判断で調節しない
フードをたくさん欲しがっていても、肥満予防のために控えてしまう飼い主さんもいますが、それはNGです。子猫期は活動量が多く、体の成長のためにも多くのエネルギーが必要なので、特に3〜4カ月齢くらいまでは欲しがるだけ与えてあげましょう。生後半年を迎える頃になると成長が落ち着いてくるため、その分のエネルギーは必要なくなってきます。
しかし、おやつは基本的に与えないほうがいいでしょう。子猫期は体が成長していく時期なので、子猫用に調合された総合栄養食を与え、バランスのよい栄養管理を心がけることが大切です。
おやつを与えるのは爪切りやブラッシングのあとなど、特別なご褒美やコミュニケーションツールとし、1日の必要摂取カロリーの5%以下になるようにしましょう。
また、去勢・避妊手術を行った場合は、性欲が薄れた分食欲が強くなることが多いため、フードやおやつを与えすぎないようにしましょう。肥満予防として、低カロリーフードへの変更を検討するのもおすすめです。
生後3カ月までは親猫やきょうだい猫とできるだけいさせる
猫の心を健やかに成長させていくには、生後3カ月まではできるだけ親猫やきょうだい猫と暮らせるように努めましょう。同じ年頃の猫と過ごさせるのもいいでしょう。
猫はほかの猫たちと過ごすなかで、猫社会のルールを学んでいきます。ほかの猫を噛む力やじゃれあい方などを猫が学んでくれたら、多頭飼いもしやすくなり、猫自身も穏やかな気持ちでほかの猫や人と暮らしていくことができます。
しかし、生後3カ月まで、親猫やきょうだい猫と一緒に過ごすことが難しい場合もあるでしょう。その場合は、飼い主さんがしっかりとルールを教えてあげましょう。
子猫期は遊びのなかでルールを学んでいくため、しっかりと一緒に遊んであげることが大切です。手足を噛んできた場合は「痛い」と伝えて遊びを中断し、噛んではいけないことを教えていきましょう。コミュニケーションをとりながら生活のなかでのルールを教えていくことで、飼い主さんとの深い信頼関係を築いていくことができるはずです。
手や足を使って遊ばない
子猫の時期はじゃれる姿がかわいくて、自分の手足を使って遊ぶ飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし、そういった遊び方をしていると、人の手をおもちゃだと認識し、噛みグセのあるコに育ってしまうことがあります。子猫のうちから猫用のおもちゃを使用して遊ぶようにしましょう。
子猫期をしっかりと見守ろう
子猫を育てていくときは体重や毎日の健康状態だけではなく、心の成長にも目を向けながら、適切なお世話をしていきましょう。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・白山さとこ先生)
取材・文/山村晴美
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。