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猫も睡眠の「質」は重要! 猫の寝床づくりのポイントは|獣医師解説
この記事では、猫にとっての睡眠の重要性や、健康を意識した「寝床」の作り方などについて、ねこのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生が解説します。
猫は1日にどのくらい寝ている?
「もともと狩猟動物だった猫の1日の睡眠時間は、14~16時間と長めです。これは、狩りや縄張り争いなどに備えて、ふだんは極力エネルギーを蓄えようとする習性によるためです。
猫も人と同じように、深い眠りの『ノンレム睡眠』と浅い眠りの『レム睡眠』を繰り返しますが、猫の睡眠のほとんどは『レム睡眠』だと考えられています。
深い眠りは1回約7分で、1日分でも60分程度だといわれています。これは敵に襲われたときにすぐに気づくためだといわれていますが、襲われる心配がない飼い猫は、野生の猫よりも深い眠りの時間が長いと考えられます。
また、個体差はありますが、早い猫では7才を過ぎた頃から睡眠時間が長くなります。これは加齢によって筋力が落ち、活動力が減るためです。ぐっすりと眠っているのではなく、ウトウトしていたり、レム睡眠の状態でいたりすることが多いようです」
猫にとって「睡眠の重要性」とは?
「狩猟動物だった猫にとって、エネルギーを蓄えるために睡眠は大切です。食べ物の消化や体力の回復などのためにも、睡眠は重要でしょう。
また、体の成長を促す『成長ホルモン』は、眠っている間に分泌されます。脳内の情報整理や新しい神経がつくられるのも睡眠中です。
そのため、育ち盛りの子猫には、1日に20時間という長い睡眠時間が必要とされています」
「しっかりと眠ることができないと、体力や免疫力の低下につながる恐れがあります。また、何らかの理由で睡眠がとれない状態が続くことは、体や心にストレスがかかってしまい、さまざまな不調につながる可能性があるので気をつけたいですね」
猫の健康を意識した寝床の作り方は?
「まず大切なのは、猫が安心してゆっくりと休める寝床を作ってあげることです。猫の好みや性格にもよりますが、たとえば…
- 人目につかない静かな場所
- 縄張りが見渡せる高い場所
- 日当たりの良い場所や外の様子が見える窓辺など、その猫がお気に入りの場所
季節によっては、涼しい材質の寝床や暖かい寝床など、快適に眠れる環境を整えてあげることも大切です。年齢などによって好みの場所や温度も変わってくると思いますので、猫の様子をよく観察して、適切な場所に快適な寝床を作ってあげてください。
また、猫が眠っているときは邪魔しないように、配慮も忘れないようにしましょう」
猫の健康を損なう可能性のある寝床の特徴は?
「たとえばですが…
- 周りが騒々しく、落ち着けない場所にある寝床
- 寝床が1つしかなくいつも同じ場所で、猫が自分で好きな場所を選べない
- 清潔ではない寝床
- 寒い、暑いなど快適でない寝床
「快適な寝床を作る」以外に、猫の睡眠で気をつけたいことは?
「部屋の明るさには配慮してあげるとよいでしょう。明るさに敏感な猫にとって、人工の光は強すぎることがあります。
前足で目をおおうようにして眠っているときは、まぶしいと感じている可能性も。愛猫が光を気にしているようであれば照明を消してあげたり、暗い場所を作ってあげましょう。
また、室内の温度調節に配慮してあげることも大切です。猫が顔を体に埋めるほど丸まって眠っているときは、寒いと感じている可能性があります。部屋の気温が低すぎないか、確認してみましょう。
一方で、お腹を見せた状態で足を伸ばしきって眠っているときは、暑がっている可能性があるので気をつけてくださいね」
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/雨宮カイ
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