置き場所が気に入らない、落ち着いて排泄できないなど、猫がトイレ環境に不満をもっていると、粗相や病気などのトラブルにつながることがあります。今回は、猫がトイレで排泄しない理由とその対処法について、獣医師の田草川佳実先生にお話を伺いました。
トイレ以外の場所で排泄する
猫がトイレ以外の場所で排泄するのは、猫としては失敗しているつもりはなく、「こっちのトイレのほうが好き」という気持ちから、布団などに排泄していることが考えられます。この場合は、トイレの置き場所を、猫が「入りたい」と思える場所に見直してみてください。
そのほか、認知症でトイレの場所を間違える、関節の痛みでトイレをまたげていないなどの可能性も。オシッコだけの場合は膀胱炎による頻尿、または腎臓病や糖尿病の影響で量が増えて、トイレに入るのが間に合っていないことも考えられるので、トイレ以外の場所で排泄する様子が頻繁に見られる場合は、早めに動物病院に相談するようにしましょう。
トイレから体や排泄物がはみ出す
トイレに前足しか入っていなかったり、オシッコやウンチがしょっちゅうはみ出したりする場合は、トイレ容器が小さくて排泄しにくい、壁にくっつけて置かれていて入りにくいなど、トイレのサイズや置き場所に問題があるのかもしれません。一度、さまざまなタイプのトイレを試してみて、愛猫の好みのトイレを見つけるようにしましょう。
また、トイレ以外の場所で排泄するのと同様に、病気の可能性もあります。猫の排泄の様子や排泄物をチェックしたときに異常が見られる場合は、早めに動物病院に相談して、治療を受けるようにしてください。
人が見ているとトイレに行かない
人が長時間いるリビングなどにトイレを置いていて、人がいないときばかりをねらって排泄をするなら、人がいると落ち着いて排泄できないために、トイレに行くのを我慢しているのかもしれません。
この場合は、トイレを静かで落ち着ける場所に置き直してみてください。とはいえ、体調管理のために排泄の様子を確認することも大切なので、飼い主さんの場所から、猫がトイレに入ったことが気配でわかる距離感に置くのがいいでしょう。
トイレに入ったり出たりを繰り返す
トイレに入ったり出たりを頻繁に繰り返す場合は、出したいけれど出なくて苦しい、残尿感・残便感があるなどの理由が考えられます。オシッコの場合は膀胱炎や尿石症(尿道閉塞)、ウンチの場合は下痢や便秘になっている可能性があるので、早めに動物病院で相談し、治療を受けるようにしてください。
猫がトイレで排泄しないのは、トイレ環境が気に入らない、健康状態に異変が起きているなど、さまざまな理由が考えられます。猫がトイレで気持ちよく排泄できるよう、日ごろから排泄の様子をチェックしたり、トイレ環境を見直したりしましょう。
お話を伺った先生:田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2022年1月号『こだわりを理解してよりよい環境づくりを、目指しましょう。 猫的トイレのお作法』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。