飼い主調査で分かった　猫の好きな音・苦手な音に意外な共通点

猫は聴覚が優れていますが、どんな音域が聞き取りやすく、どんな音色を心地よく感じるのでしょうか？慶應義塾大学文学部人間関係学系教授の渡辺茂先生に、猫が好き・嫌いな音を教えていただきました。飼い主さんたちに聞いた、愛猫の好きな音に関するアンケート結果も紹介します。

猫が好きな音域

ピアノにのる絆くん（スコティッシュフォールド・ロングヘア） — ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫は人の約3倍もの広い音域を聞き取ることができ、45～64,000ヘルツほどの周波数の音が聞こえています。なかでも猫が聞き取りやすいのは、周波数約8,000ヘルツの倍音という高くて柔らかい音です。

滑らかな音が好き

弓を見るこむぎ。くん（スコティッシュフォールド） — ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫はゴロゴロ音や、母猫の乳を吸う音などを聞くとリラックスします。これらの音には、途切れず滑らかに続いているという特徴があります。
2015年にアメリカの動物行動学者の協力のもと作られた、猫が好きな音を再現したメロディー集にも、このような音が再現されているそうです。

猫が好きな音・嫌いな音

本能的に好き・嫌いが分かれる音

野生時代の猫は狩りをして生活をしていたため、飼い猫になった今でも狩猟本能が残っています。そのため小動物などの獲物を連想する音に魅かれ、敵を連想する身の危険を感じる音からは逃げようとします。

《本能的に好きな音》
屋外やテレビから聞こえる動物の鳴き声、ピアノの高い音、など

《本能的に嫌いな音》
大きいくしゃみの音、バイクや飛行機の音、など

経験から好き・嫌いになる音も！

猫は自分にとってよかった経験や、悪かった経験を音とセットで覚えます。そのため、おやつがもらえるなどのいい経験を思い出す音は好きになり、動物病院などの嫌な経験を思い出す音は嫌いになるのです。

《経験的に好きな音》
飼い主さんの帰宅する音、おやつの袋を開ける音、など

《経験的に嫌いな音》
インターホンの音、目覚まし時計の音、など

教えて！愛猫の好きな音

猫には本能的に反応する音があり、経験から好き・嫌いな音が足されていくこともわかりました。ここからは、ねこのきもちが2022年7月に行ったアンケートをもとに、飼い猫たちの好きな音・嫌いな音を見ていきましょう。
※2022年7月実施「ねこのきもちアプリ」内アンケート調査（回答者数　205人）

愛猫の好きな音を教えてください

アンケート内で愛猫に好きな音があるか伺ったところ、66％の飼い主さんから「はい」という回答が。猫たちは、次のような音を好んでいるようです。

「ゴロゴロ音」
「鳥の鳴く声」
「ゴハンの音や、『ゴハン』という声」
「飼い主の声や、帰宅する音」
「シールを剥がす音」
「紙、ビニール袋、プラスチック、鈴の音」
「特定のテレビ番組の時報」
「氷の音」
「沖縄民謡」
「クラシック」
「口笛」
「オルゴール音楽」

愛猫の嫌いな音を教えてください

反対に、愛猫に嫌いな音があるかどうかの問いには、89％の飼い主さんが「はい」と回答。次のような音が、愛猫の嫌いな音としてあげられました。

「低くて大きな音全般」
「大きな声、子どもを叱る声」
「くしゃみ」
「チャイムの音」
「ナイロン袋の音」
「鈴の音」
「掃除機や、車、バイクの騒音」
「ゲームの音楽」
「雷や、花火の音」
「救急車、消防車のサイレン」
「ペットボトルを潰す音」
「緊急地震速報などの警報音」

心地いいメロディやいいことを連想する音を好む傾向が、ハッキリとあらわれていますね。

人よりも広い可聴域をもち、音が大きく聞こえている猫たち。不快な思いをさせないために、生活のなかで猫の苦手な音を出さないよう気を付けたいですね。

お話を伺った先生／渡辺茂先生（慶應義塾大学文学部人間関係学系教授）
参考／「ねこのきもち」2019年5月号『どの猫も好きな音は？クラシック音楽で癒される？知りたいねこと音』
文／小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。