あるときは擦り寄ってきたり、あるときは知らんぷりしたり。マイペースな猫のしぐさにはかわいいだけじゃない理由があります。そんな猫のしぐさに隠された「かまってほしい」オンモードと「ほっといてほしい」オフモードについて、獣医師の菊池亜都子先生に解説してもらいました。
これをしたらオンモード!
けりけり
前足でおもちゃなどの獲物を押さえつけて、後ろ足でけりけりしているのを見たことはありませんか? これは飼い猫にとっての”狩り”である遊びをしているときによく見られるしぐさです。気分はまさしくオンモード! とても興奮しています。
鳴く
本来は単独で行動する猫が、鳴くことで気持ちを伝えようとするのはまれです。日々お世話をしてもらう手段として、鳴くことを覚えたようです。そのため、要求をかなえてもらうためにスイッチをオンにして、鳴いて気持ちを伝えようとするのでしょう。
伸び~~!
歩き始めたときや、目覚めたときなどに猫はぐいーっと伸びをします。これは「よーし、やるぞ!」とオンモードに向けて調子を整えているのだとか。活発に動く前の、準備運動のようなものでしょう。
ちょいちょい
猫が前足でモノに触れるのは、本来、捕まえた獲物が生きているか確認する行動だと考えられています。前足の肉球にはセンサーの役割を果たす機能が備わっており、“ちょいちょい”と軽く触れることで温度や動きを感知しています。
オフモードに入った猫がするしぐさ
すりすり
ニオイの分泌腺がある口まわりやしっぽの付け根などを、物や場所にこすりつける行為のひとつ”すりすり”。自分のニオイを気に入った場所にこすりつけることで縄張りを守ったり、自分のものと主張したりしているのです。自分のニオイに包まれて安心するほか、人やほかの猫に対するお近づきの挨拶であることも。
ごっちん
”ごっちん”は”すりすり”と同じ意味。自分のニオイに包まれて安心したい、飼い主さんに親しみを込めてニオイをつけたい、といった気持ちを控えめに表現しています。
おなか見せ
猫が急所であるおなかを見せるのは、相手に対して敵意を示していないサインです。つまり、リラックスしきっているといえるでしょう。
ここから体をくねくねさせて、遊びモードをオンにさせることもあります。
香箱座り
香箱座りは、筋肉や関節が柔らかい猫ならではの座り方。このときの猫は、のんびりリラックスしている状態です。香箱座りは両前足を胸の下にしまった状態で、急には動くことができないことからリラックス中に見られるといわれています。
人と同じように猫にもオンモードとオフモードがあります。猫が示すかわいいしぐさからどのモードかを察知して、気持ちに寄り添ってあげたいですね。
お話を伺った先生/菊池亜都子先生(獣医師 獣医行動診療科認定医)
参考/「ねこのきもち」2020年6月号『15のしぐさに秘められたねこのきもち』
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。