猫は年代によって適したフードが異なります。特に胃腸の機能が衰える老猫期(16才~)は、食事管理や水分補給など、多くの点に気を付けなければなりません。
そこで今回は、老猫期に気を付けたい食事の与え方やフードに関する疑問などを、獣医師の田草川佳実先生に伺いました。
老猫期(16才~)のフードの与え方
筋肉が落ちすぎないように食事管理をする
16才頃になると、胃腸の機能が衰えることで食が細くなる傾向があります。筋肉の低下は、体力や免疫力の低下を招き、一気に体が弱る要因になるため、この時期はなるべく食べる量を減らさず、老猫用(ハイシニア用)のフードを与えるなどして、体形を維持できるよう努めましょう。
食欲を引き出す工夫をする
猫は年を重ねると、一度にたくさんの量を食べることができなくなるため、少量ずつを1日数回に分けて与えるといいでしょう。
また、嗅覚が衰えることで食欲が低下する場合があります。香りづけなどがされた嗜好性の高いフードを選んだり、ウエットフードを温めてニオイを強めたりなど、嗅覚を刺激して食欲を引き出してあげましょう。
水分を摂取できるようにする
老猫は、腎臓の機能が低下して尿量が増えたり、水を飲む量が減ったりして脱水傾向になりがちです。水を多く飲ませるのは難しいため、ウエットフードを与える、水分含有量の多いスープやゼリー状のおやつを取り入れるなど、積極的に水分を取らせる工夫をしましょう。
老猫はドライフードよりウエットフードの方がいいの?
ウエットフードは柔らかいので、老猫にとっては食べやすいといえます。また、水分を同時に摂取できる、消化吸収されやすいなどのメリットも。ただ、ドライフードには短時間で効率よくエネルギー補給ができるというメリットがあるため、両方のメリットを考えつつ与えるフードを選びましょう。
食欲がない場合は、フードにおやつをトッピングしてもいい?
老猫の食欲が落ちているときは、栄養バランスよりも「何かしらを少しでも食べさせる」ことを優先すべき。愛猫が好んで食べるおやつを、主食にトッピングしたり混ぜ込んだりして、食欲を引き出すために活用するのは得策といえます。
フードの粒は小さい方がいい?
基本的に、老猫用のフードは食べやすいよう工夫されて作られています。愛猫が今のフードを問題なく食べているようなら、そのまま与え続けてかまいません。もし食べにくそうにしているのなら、より粒の小さいフードを試してみるのもいいでしょう。
愛猫が年老いてくると、食事面で気を遣うことが多くなります。できるだけ元気で長生きしてもらうためにも、愛猫の様子を見ながら、適したフードを与えられるようにしましょう。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2023年4月号『ライフステージでポイントや注意点が変わります 子猫 成猫 中~高齢猫 老猫 年代別フードの与え方』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。