猫と暮らす
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“アニマルホーダー”という問題が保護団体設立のきっかけ
引っ越してまもないシェルターを訪れたら下半身不随の猫やおむつをした猫、
目が見えない猫など、1匹ずつ事情の異なる猫がみんなでとても穏やかに暮らしていました。
*記事内容はすべて2024年12月10日現在のものです。
それぞれ事情の異なる猫が集うシェルター
「持病がある猫は保護団体も引き取らないことが多いのです。だから、話を聞いてすぐに『引き取りたい』と手をあげました。もともと首輪をしていた推定2才の猫なんですが、センターの収容期限は1週間しかないので、飼い主さんが見つかったときにすでに処分されていた、なんて事態にもなりかねませんよね」
そんなの悲し過ぎます、という石川さん。その猫はてんかんだけでなく、片目が萎縮し、胸には古い手術痕があるそうです。「このコ、人懐っこくて、かわいい」
石川さんが主宰する「NPO法人 ねこひげハウス」は、約120匹の猫が暮らすシェルターを運営しています。ほかのシェルターと少し違う点は、収容猫の9割以上が7才以上のシニアで、傷病猫やハンデを持つ猫も多いこと。’24年には新たなシェルターが完成し、車で約5分の距離を約120匹の猫を連れて引っ越しました。
「ねこひげハウス」の なりたちをたどる
「いわゆるアニマルホーダー(劣悪多頭飼育者)で、外に猫がいれば片っ端から連れて帰ってしまうような人でした。家の中には200匹以上の猫がいて、ギリギリ命をつないでいる状態です。私は居ても立ってもいられなくなって、ボランティアで猫のお世話を買って出ました」
それから石川さんは数年かけて説得を続け、ようやく男性と一軒家の賃貸契約を交わし、そのまますべての猫を譲り受けることに成功したそうです。
かくして誕生した「ねこひげハウス」は、行き場のない猫の“最後の砦”として歩んできました。たとえば多頭飼育崩壊が起きたときには、譲渡が見込める猫はほかの保護団体が引き取り、残りの高齢猫やハンデのある猫は石川さんのもとで預かる場合が多いそう。
「私たちは、受け入れ先が見つかりにくい猫や緊急性の高い猫を中心に受け入れています。逆に、うちに子猫が来たら別の団体に引き取ってもらったり、近隣の保護団体とも連携しながら活動しています」
元気な子猫のお世話より、介護や看病のほうが自分の性分に合っているみたい、と話す石川さん。現在は、かつての一軒家シェルターより広さ1.5倍の平屋建てシェルターに引っ越し、医療ケアができる入院室も用意しました。
撮影/尾﨑たまき
取材/野中ゆみ
※この記事で使用している画像は2025年2月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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