現代の科学をもってしても、まだよくわかっていない猫のあくび。愛猫のあくびについて、飼い主さんが「これはなぜ?」と思うことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、猫のあくびに関する素朴なギモンについての回答を、哺乳動物学者の今泉忠明先生に伺いました。
声が出るあくびと出ないあくびには何か意味がある?
あくびは呼吸なので、空気がのどを通過する際に声帯が震えると声が出ます。また、リラックスしている状態であるほど声帯は震えやすいと考えられているので、あくびをしながら声が出ているときは、眠いときや「平和だな」と思っていることが多いでしょう。
飼い主や他の猫のあくびがうつることはある?
いつも行動をともにしている仲よしの猫同士は、お互いに同調し、同じ行動をとりやすくなります。あくびも例外ではなく、猫同士が同調した結果、ほぼ同時にすることもあるようです。そのため、猫はほかの猫のあくびが“うつる”といえますね。
飼い主さんのあくびがうつることはあまりないようですが、愛猫との関係がかなり密な場合、ありえるかもしれません。
あくびを噛み殺したり我慢したりすることはある?
人があくびを噛み殺したり我慢したりするのは、社会的や対人関係などを考慮して「この状況であくびをするのは不適切だ」と考えたゆえの行動です。しかし、猫はこのような高度な思考をもっていないため、あくびを噛み殺したり我慢したりすることはありません。
あくびが病気の症状である場合はある?
猫が1日中、頻繁にあくびをするようであれば、脳の病気であるおそれがあります。何らかの原因によって脳への血流が阻害され、慢性的に酸素が欠乏した結果、頻繁にあくびをしているのかも。
愛猫がいやにたくさんにあくびをしているようなら、早めに動物病院を受診して、獣医師にその旨を相談してみるといいでしょう。
猫のあくびは、本当にかわいらしいですよね。愛猫があくびをしていたら、ついつい見入ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ただ、あまり頻繁にあくびをするようであれば、ご紹介したように病気が原因にあるのかもしれないので、動物病院を受診して検査をしてみることをおすすめします。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2025年4月号『ふぁ~に隠れた、6つもの気持ち。 じつは複雑 猫のあくび』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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