猫のフィラリア症は、発見が難しいうえに、突然死を引き起こすこともある非常におそろしい病気です。たとえ室内飼育だとしても蚊に吸血されることがあれば感染のリスクはあります。
今回は、フィラリアの感染から発症までの流れを図でわかりやすく解説。しっかり理解して大切な愛猫を守りましょう。
フィラリア「感染」の流れを解説
フィラリアは蚊が媒介する寄生虫で、犬糸状虫とも呼ばれます。「犬」と名前がついていますが、猫にも感染することがあります。猫がフィラリアに感染した蚊に吸血される際に猫の体内にフィラリアの第3期幼虫(L3)が侵入します。幼虫はその後も発育を続けますが、猫はフィラリアにとってあまり好ましい宿主ではないため、成長の過程で猫の免疫の仕組みによりほとんどが死滅してしまい、成虫にまでなることは非常にまれです。
しかし、死滅した虫体によって肺の血管や組織に急性の炎症が生じ、犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)や、死滅した成虫の虫体が血栓塞栓症を引き起こすこともあり、猫にとって非常に深刻な影響を及ぼします。
「感染」から「発症」するまで早くて3カ月、長ければ2〜3年かかることも
参考:Textbook of Clinical Parasitology in dogs and cats, F. Beugnet et al.を改変
猫のフィラリア症は診断が難しく、見逃されやすい病気です
猫のフィラリア症の初期症状は、喘息などの呼吸器疾患と似ているため、気づかないうちに重症化してしまうおそれがあります。突然死の可能性もある病気であることを、よく覚えておきましょう。
室内飼育でも感染リスクはある
「うちのコは外に出ないから安全」と思いがちですが、本当にそうでしょうか?フィラリアは蚊によって媒介されます。その蚊は玄関や網戸の隙間から簡単に室内へ侵入してきます。高層マンションでも、エレベーターに入り込んで上層階に運ばれることがあります。たった1匹の蚊が感染源になる可能性がある以上、室内飼育でも油断はできないのです。
フィラリア症は治療が難しく、命に関わるリスクもある深刻な感染症です。「うちは大丈夫」と決して思い込まず、大切な愛猫を守るために、ぜひ動物病院でフィラリア症予防についてご相談ください。
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提供/ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社