暑くなると、お腹を出したり、床にくっついたりと、無防備極まりないだらけたポーズで寝る猫の姿をよく見かけるようになります。そこで今回は、暑い時期に猫が見せる、寝ているときのポーズの意味や理由について、哺乳動物学者の今泉忠明先生に伺いました。
お腹を出した「ぱか~ん」ポーズをする理由
猫は暑さを感じると、体を伸ばして放熱面積を広げ、熱を外に逃がして体温の上昇を防ぎます。つまり、お腹を「ぱか~ん」と出した寝方は、体の熱を放出するのにもってこいのポーズなのです。一説では、お腹を出したり、後ろ足を開いたりするのは、室温が23℃以上からともいわれています。
また、お腹を「ぱか~ん」と出すポーズはストレッチも兼ねていて、後ろ足をまっすぐ伸ばした寝方をしているときは、ストレッチをしたまま気持ちよくなり、寝落ちした可能性もあります。
床などにひっついた「ぺた~ん」ポーズをする理由
快適な場所を見つけるのが得意な猫は、暑いとフローリングの床などひんやりした感触の場所に移動します。そのときに、お腹を下にして床などに「ぺた~ん」とひっついて寝ることが多いのですが、これは、猫のお腹まわりは面積が広く、毛もやわらかくて冷たさが全身に伝わりやすいためです。
さらに、前足と後ろ足をめいっぱい伸ばして、冷たさを感じられる部位を増やそうとする猫もいるでしょう。
寝床からはみ出した「だら~ん」ポーズをする理由
猫タワーの上などでだらけきって、体の一部や半身を「だら~ん」とはみ出したまま寝ている愛猫の姿を見たことありませんか? 猫にとって高い場所は、木の上と同じ感覚で本能的に安心できるため、リラックスできるようです。そのうえ、暑い日は放熱のために体を伸ばすので、寝床から体の一部がはみ出してしまうのでしょう。
そのような不安定なポーズで熟睡できるのは、バランス感覚にすぐれた猫ならではですね。
暑くなると猫がだらけたポーズで寝るようになるのは、体の熱を逃がしたり、冷たさを全身に伝えたりするのに適しているからだったんですね。愛猫が今日はどんなポーズで寝るのか、観察してみるのも楽しいかもしれませんよ。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2021年8月号『ありがちポーズ、その意味は?暑い日のねこの寝事』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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