ときに強く、ときに弱く――。日常のさまざまなシーンで繰り出される猫のパンチには、いったいどんな気持ちが込められているのでしょうか。
今回は、モノ・猫・人へのパンチに込められた猫の気持ちを、哺乳動物学者の今泉忠明先生に解説していただきました。
猫がモノにパンチするときの気持ち
猫がモノにパンチするときの気持ちは、シーンによってさまざま。楽しい気持ちのときもあれば、怖い気持ちのときもあるのです。
「楽しいな!」という気持ち
現代の飼い猫も、獲物のようなものを見ると狩猟本能がくすぐられて、「獲物を捕まえたい」という気持ちになります。そして、それを攻撃できたり捕まえたりすると、「楽しい!」と満たされた気持ちに。おもちゃやネズミくらいの大きさのものを強めにパンチしているときは、こうした気持ちでしょう。
「怖い!」という気持ち
猫は、自分のテリトリー内に敵かもしれないものや、得体の知れないものを見つけると不安になり、「怖い」「あっち行って」という気持ちから強めのパンチで撃退しようとすることがあります。大きな音が出る掃除機などに猫がパンチするときは、この気持ちでしょう。
「これ何だろう?」という気持ち
猫の肉球はとても敏感で、モノを触った瞬間にやわらかさ、温かさ、質感、動くかどうかなどを感知できます。そのため、猫は正体がわからないものを見つけると、肉球で触って確認することが。チョチョッと軽くパンチしているときは、それが何か確かめているのでしょう。
猫が猫にパンチするときの気持ち
猫が猫にパンチをするときは、遊びの場合と本気の場合があります。
「ねぇ遊ぼうよ」という気持ち
相手の猫を遊びに誘うときに見られるパンチ。「ねぇこっちだよ、遊ぼう!」とちょっかいを出すようにパンチをして、相手の気を引こうとします。これをきっかけに、追いかけっこやプロレスごっこが始まるのが自然な流れです。
「それ以上すると怒るよ!?」という気持ち
自分はのり気ではなのに、相手がしつこく遊びに誘ってくるときなどに、猫は軽めにパンチをすることがあります。これは「それ以上すると怒るよ、今のうちにやめて」という、いわば警告的な意味合いのパンチ。それで相手がやめなければ、本気のパンチに発展することもあるでしょう。
「やめろ!」という気持ち
同居猫に対して本気で怒った意思表示として、強めのパンチをすることもあります。たとえば、何かイヤなことをされたときや、自分のお気に入りの場所にほかの猫が入ったときなど。ふだんは仲のよい猫に対しても、本気のパンチを繰り出すことがあります。
猫が人にパンチするときの気持ち
猫が人にパンチするときは、慣れている相手かどうかによっても違うようです。
「遊ぶの? いいよ!」という気持ち
猫が高いところでくつろいでいるときなどに、近づいてきた飼い主さんに対して爪を出さずに軽くパンチした場合、遊びに誘われたと思っている可能性が。「いいよ!」と遊びの誘いに応じているつもりでしょう。
「ねぇ○○して」という気持ち
「ゴハンちょうだい」「早く起きて」など、自分の要求をアピールするために、飼い主さんの気を引きたくて軽くパンチをすることも。それでも望みが叶わなければ、だんだんパンチが強くなることもあります。
「やめろ!」という気持ち
人に慣れていない猫や、慣れていても怖がりな猫は、人のほうから近づいたり手を伸ばしたりしたときに、「やめろ!」と本気のパンチをすることも。苦手なお手入れをされるときも、パンチで意思表示をします。
猫がパンチをする理由はさまざまです。愛猫がどんな気持ちでパンチしているのかを見極め、上手に対応してあげられるとよいですね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2025年3月号『弱めにペシペシ、強めにバチーン! いろんな気持ちがこもってる 炸裂 猫パンチ!!』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。