愛猫が食べてはいけないものを口にしてしまい、慌てた経験がある飼い主さんも少なくないでしょう。家の中には、人にとってはただの家庭用品でも、猫にとっては「毒」になるものがたくさんあります。
そこで今回は、実際に起きた誤食事故の体験談と、猫が口にすると毒になる家庭用品の種類などを、獣医師の田草川佳実先生に伺いました。
体験談1:食器用洗剤の容器をなめてしまった!
千葉県・S.Yさんの体験談
愛猫が子猫のときの話です。愛猫は大型種なので子猫でもジャンプ力があり、よくキッチンシンクにも飛び乗っていました。ある日、食器用洗剤の容器の先端に付いた液体をペロッとひとなめしてしまい、口から泡をブクブクと出して頭を振っていました。口周りを何度も水で洗い流してタオルで拭いたら落ち着き、その後体調の異変は見られませんでした。
先生のコメント
子猫はさまざまなことに興味を示すので、子猫ならではの誤食ですね。猫は苦い物を口にすると泡を出すので、このときに出た泡も洗剤の泡ではなかったと考えられます。口周りを水で洗い流したのは、いい判断でした。
体験談2:漂白剤を薄めた水を飲んでしまった!
北海道・A.Yさんの体験談
キッチンのシンクで水筒の漂白をしていたとき、愛猫がシンクに上がって、漂白剤を薄めた水をなめてしまいました。実際にどのくらいの量をなめたのかは不明です。ネットで対処法を検索すると、異変が見られなければ様子見で大丈夫と出てきたので、無理に吐かせることはせず、翌日まで注意深く見守りました。結果、特に異変はありませんでした。それ以来、漂白剤を使うときは、締め切った風呂場で行っています。
先生のコメント
食器をつけ置き漂白除菌している水を猫がなめるケースがあります。化学物質は少量でも中毒を引き起こすおそれがあるため、猫の入れない場所で行うのはいい方法です。
注意したい!猫が中毒を起こす危険性がある家庭用品
家にありがちな家庭用品の中には、猫が口にすると中毒を起こすものも少なくありません。含まれている化学物質の成分によっては、毒性が強く早急に胃洗浄などの処置が必要なケースもあるため要注意。特に注意が必要なアイテムは、以下の通りです。
漂白剤
少量でもおう吐や下痢を引き起こします。また、大量に飲むとけいれんなどを起こします。
ゴキブリ駆除剤・殺虫剤
使われている薬剤によっては、飲み込むと命に関わることがあります。
タバコ
ニコチンが原因で、おう吐や震えなどの症状が出ます。
殺鼠剤(さっそざい)
ネズミの駆除剤は毒性が強いので、適した治療を受けないと命を落とすことがあります。
家の中には、意外と危険なものがたくさんあります。愛猫を守るためにも、ふだんから洗剤や殺虫剤などの取り扱いには充分注意しましょう。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2023年9月号『半数の飼い主さんがヒヤリ!してます。 年代別ねこの誤食体験談』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。