猫は性別によって、かかりやすい病気が異なるケースがあります。今回は、猫の健康に関するさまざまなデータを用いながら、性別ごとにかかりやすい病気と健康管理のポイントを解説します。イマドキ猫の健康事情を知って、いつまでも元気でいられるように対策をしましょう。
オスは「尿道」の病気にかかりやすい?
上のグラフは、泌尿器の病気でオスの受診件数が多かった病気を表しています。「膀胱炎」や「尿石症」のかかりやすさは、性別によって大きな差はないといわれていますが、このグラフを見てもわかる通り、「尿道閉塞」はオスの方が圧倒的にかかりやすいことがわかりますね。
この「尿道閉塞」という病気は、尿道に結石などが詰まっておしっこが出なくなってしまう、命にもかかわる病気です。オスはメスに比べて尿道が細いため、この病気にかかりやすいのです。ちなみに「膀胱炎」や「尿石症」もおしっこが出にくくなるという症状が出るため、飼い主さんが猫の異変に気づきやすく、受診件数も多くなっているようです。
メスは「乳腺」や「子宮」の病気にかかりやすい?
上のグラフを見てわかるように、メスは「乳腺腫瘍/乳腺腫瘤」や、オスにはない子宮の病気である「子宮蓄膿症」などにかかりやすくなります。「乳腺腫瘍/乳腺腫瘤」は、乳腺にできるしこり。猫では9割が悪性といわれており、進行がとても早いのが特徴です。一方「子宮蓄膿症」は、細菌感染により子宮が炎症して膿がたまってしまう病気です。元気がなくなって嘔吐することもあり、重症化すると「腎不全」や「敗血症」になることもあります。
それぞれの病気を予防する健康管理のポイント
尿道閉塞
「尿石症」を早期発見することで、予防ができるケースがあります。頻尿や血尿、何度もトイレに行こうとするなどの様子が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。検査で「尿石症」の疑いがあれば、療法食などで治療をします。また、定期的に尿検査をするのもおすすめですよ。
乳腺腫瘍/乳腺腫瘤
最初の発情を迎える前に避妊手術を受けることで、発症リスクを「91%」減らせることがわかっています。2回目の発情まででも「86%」の発症リスクを減らせるので、愛猫の妊娠を望まない場合は、早めに手術を受けさせましょう。
子宮蓄膿症
避妊手術で卵巣を取れば、子宮蓄膿症にかかることはありません。妊娠を望まず、愛猫の健康を考えるなら、早めの避妊手術を検討することをおすすめします。
このように、オスとメスではかかりやすい病気が違うことがわかりました。オスはおしっこのチェックをして異変の早期発見を、メスの場合は発情前の避妊手術を獣医師と相談することが、健康管理のポイントですよ。
参考/ 「ねこのきもち」2018年1月号『愛猫を守るためにできることが見えてくる!イマドキ猫の健康事情』(監修:獣医師 聖母坂どうぶつ病院 鵜飼佳実先生)
文/ishikawa_A