フードをあげて、遊んであげているとごろんとひっくり返っておなかを見せる愛猫。これって、何を意味するしぐさなのでしょうか? 服従? それとも気を許しているだけ? ここではそんな猫がどんな気持ちで「おなか見せポーズ」をしているのかに迫ります!
猫がおなかを見せるのは、相手を母猫だと思うから
猫が人の前でおなかを見せるのは、相手を母猫だと思っているからです。おなかは、肉体的にもっとも弱い急所。そこをさらけだすのは猫が「あなたを母猫だと思って全面的に信頼しています」という気持ちの表現なのです。
猫の社会は母子関係が基本
猫の社会では、猫同士の関係は「母猫とその子猫」という関係をベースに作られているのです。
飼い主さんは母猫、自分は子猫
ですから、猫が人と関係を持ちたいと考えたときには、人を母猫、自分を子猫に例えてふるまうようになります。たとえば猫は、帰宅した飼い主に対してしっぽをぴんと上に伸ばしてすり寄ってくることがあります。この「しっぽを上に伸ばした姿勢」は、まだ巣穴の中で母猫にお世話をされていたとき、お尻をなめて排せつを促してもらうための姿勢と同じです。つまり、しっぽをぴんと伸ばして近寄ってくる猫は「私は子猫です」、「お世話をしてください」と飼い主さんに対してアピールしていることが多いようです。
もしおなかに異常を見つけたら?
猫が見せたおなかをなでたときに、普段とは異なるしこりなどを見つけたときは、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。水がたまっているようにおなかが大きく膨らんでいる場合や、局所的に毛が抜けている場合も同様に病気の可能性があります。
猫のこんな行動の意外な理由
おなかを見せる行為以外でも、猫を飼っていると独特の行動をしていることに気が付きます。ここではそんな行動の理由について解説します。
人や物に顔をこすりつけるのは?
柱や壁だけではなく、人の足や手にも顔をぐりぐりと押しつけてくることがありますが、これには二つの意味があります。一つは自分の匂いをつけるマーキング行動。もう一つは、相手と自分との匂いを混ぜることで社会的な距離を近づける目的で行っているのです。この行動は一緒に飼っている猫同士でも行われます。一緒に飼っている猫同士では、強い立場の猫に対して行われることが多いようです。
やわらかい布などを前足で交互に踏むのは?
子猫が母猫のお乳を飲むときに、よく出るように母猫のおっぱいを押していたしぐさの名残です。成長しても、母猫のお乳を飲んでいるような安心感を感じているときにするしぐさです。
排せつの前後にトイレ砂を掘るしぐさは?
猫は野性時代、自分の存在をなるべく気づかれないように、排せつ物を土の中に埋めていました。排せつの前に穴を掘り、そこで排せつし、排せつの後は土をかけて臭いを消していたのです。排せつ前後にトイレ砂をほりほりするしぐさは、そんな野性時代の習性の名残なのです。
まとめ
猫がおなかを見せるのは、服従を示しているのではなく、相手を母猫だからと思って気を許しているからでした。実は猫の社会は母子関係が基本になっていて、「おなか見せ」のしぐさもそんな猫の習性から来ているんですね。猫がする一見不思議なしぐさも、じつはそれぞれ母猫との関係や野生の習性に基づいた、意味のある行動なんですね。
参考/「ねこのきもち」2015年03月号『繰り返しのしぐさ その気持ちは?』(監修:加藤由子さん)、「ねこのきもち」2013年8月号『ねこが今日もマーキングする そのワケは…」(監修:今泉忠明先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/コージー根本
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。